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永遠の愛なら

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きっと、準備が整ったのでしょう。ランナは私に言いました。

「おねぇさま。お茶を飲もうと思うんだけど、カップが見つからないの。取ってきてくれない?」

私はちらりとエルドを見ました。彼は深くうなずきました。こちらの準備もできたようです。そんな心配な顔をしなくてもだいじょうぶです。エルド。私はちゃんとやり遂げてみせます。

言われた通りキッチンに行くと、そこにはリックが待ち構えていました。私に青色のカップと赤色のカップを手渡しにっこりと笑います。

「これをテーブルまで持っていってくれ。頼んだよ。アリアナ。」

毒がついたカップを婚約者に手渡すなんて、信じられません。しかも、5年間も付き合った私を裏切ったリックには痛い目を見てもらいましょう。

彼らは"私"がランナを殺そうとするように見せかけたいみたいです。ですがここで、私がカップをペロリと舐めたらどうなるでしょう?

「ずいぶん、素敵なカップね。リック。」

私は、"毒のついた"カップをペロリと舐めました。

「アリアナ!!」

ずいぶん、焦った顔をなさるのね。婚約者様。私は血を吐いてゆっくりと倒れました。

リックは必死で私の体を揺すっています。このままではリックは殺人者です。私を殺すつもりはなかったのでしょう。

私の周りに真っ赤な血が広まりました。ランナも慌てた顔で駆け寄ってきます。

「お姉様!!」

ずいぶん下手な演技ね。私がどうなろうがどうでも良いと思ってるんでしょう?私には分かっているのよ。

「ランナ、エルド、、、お前たち、私の主人を殺したな!!証拠は全て揃っているんだ!!」

エルドはリックのカバンから毒の瓶を取り出しました。この瓶は本当はリックが私のカバンに入れていたものですが、エルドがリックのカバンに移してくれました。さらにエルドはランナが毒を購入した証拠を二人に見せつけます。

「そ、そんな、、、!」

ランナは真っ白な顔で震えた。

「だ、黙れ!!」

エルドに殴りかかったリックですが、簡単にエルドにかわされ両手を拘束されました。

「お前達に選択肢をやろう。リック。ランナ。姉を殺害したとなれば、死刑は免れないだろう。だが、自首して反省を示した場合、30年ほどの懲役で、刑務所から出られるかもしれない。」

エルドは手早くリックとランナを縛り付けました。長い間抵抗していた二人だったが、よほど死刑が恐ろしかったのでしょう。その日のうちに、リックは罪を洗いざらい告白しました。ただ、彼は自分ではなくランナが主犯だと訴えたようですが、、、。

最後まで自分の罪を認めなかったランナですが、様々な証拠はランナが犯人であるということを示していました。

自首したとはいえ、殺人を企てたことは重い罪になります。リックは20年間の牢屋生活を宣告されました。

(あまりにも、恐ろしい、、、。どこであれほどおかしくなってしまったのか、、、。)

そしてランナは、さらに重い罪となり彼女は一生刑務所から出られないことになりました。ランナの罪は、私を毒殺しようとしたことだけではなかったのです。

   
  ◇◇◇
 
「お父様、、お母様、、、。」

私は両親のお墓に手を合わせました。エルドは私に寄り添い肩を抱いてくれました。

ランナは私とリックの結婚を送らせるために、両親を亡き者にしていました。両親の事故は、ランナが仕組んだことだったのです。ランナはリックの子供を流してしまったと聞きました。両親が刑務所にいる子供が生まれなくて幸いだったかもしれません。

「私は一人ぼっちになってしまったわ。」

私は双子にも関わらず、ランナの暴走を止められませんでした。一人ぼっちになったのは、その罰かもしれません。

「いいや。一人ぼっちなんかじゃないさ。」

エルドは私に言いました。彼は一連の騒動の間、ずっと私の側にいてくれました。彼がいなければ、私はもうこの世にいなかったかもしれません。

「ありがとう。エルド。」

あの日、私は毒のついたカップを舐めて死んだふりをしました。実際にはエルドの協力によってカップはすり替えられていたわけですが。上手いタイミングで仕込んでいたトマトケチャップを吐き出すことに成功しました。私を殺したと思い込んだリックは、まんまと自分の罪を告白したのです。

「なぁ、アリアナ。」

エルドが私を真っ直ぐに見つめました。彼の目には情熱が煌めいています。

「俺と結婚してくれないか。」

私には断る理由は一つもありませんでした。エルドの好意にも、自分がエルドに惹かれていることにも気づいていました。

「私を、ずっと愛していてね。エルド。」

そうして、私はエルドの妻となり一緒に生きて行く家族ができたのです。

(私は幸せになるの。)

全てのつらい記憶を忘れられるわけではありません。両親はもう帰ってこないし、妹とはもう永遠に会うことは無いのです。

「アリアナ。」

それでも、私を抱きしめてくれるエルドがいるからきっとだいじょうぶだって思うのです。ちなみにリックから、慰謝料として大金をもらったので、そのお金で借金を返すことができました。

それからさらに一年後、狡猾なランナが大量に自室に隠し持っていたお金を見つけました。彼女の残したお金で贅沢し放題なんて皮肉な話ですね。
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