蜂蜜と玉葱
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「ごめん。別れて欲しい」
結婚間近と信じていた四年越しの恋人から突然の別れを告げられた佐木詩鶴、27歳。
二十代の内に結婚して第一子を出産、三十半ばには三人の子供と夫と幸せな家庭を築く──
そんな夢を打ち砕かれた詩鶴は、出産特化型マッチングサービスへの登録に踏み切る。
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20XX年、婚活市場はここ数年ですっかり様相を変えていた。
それはある日本人研究者が新たな遺伝子解析法を発表したことに端を発する。
出生率0.49。
未曾有の少子化の中、その研究結果は大きな希望として世間を賑わせた。
〈vita〉と名付けられたその遺伝子解析システムは、妊娠・出産成功確率が高い相手を遺伝子レベルで分析することを可能にする。
実用が可能になり次第、大手の結婚相談所やマッチングアプリ運営会社は、こぞってそのサービスを導入し始めた。
恋愛?そんな夢みたいなものは後回し。
より効率良く沢山の子供を産む為の、前例のない取り組みだった。
この最新鋭のサービスを取り入れた企業では、利用者が大幅に増加しているという──。
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妊娠成功率だけで選んだ詩鶴の見合い相手は、人気作家の瀬尾基。
「結婚するなら、君がいい」
仕事を理由に結婚相手を探していた基だったが、見合い中にそんな事を言い出した。
愛なき結婚で始まった二人の行く末は──?
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