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301.想定外の事、絶対に逃げ切ってやる!(ジャガルド視点)
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「おい! 早くしろ!! アレはしっかり持ってきたな!」
「リダー、何処に行くつもりなんだ」
「取り敢えず街から離れねぇとな。最低でも3つ向こうの街までは行かないとダメだ。奴等はきっと俺達追ってくる。あの精霊の話しを聞いてな」
「でも奴等が追ってくるなら、もっと遠くまで行かないとダメだろう?」
「お前ら忘れたか、3つ先の街に、あの男がいる事を。あの空間魔法が得意な男がな」
「そういえば最近、こっちの闇ギルドに移ってきたって言ってましたね。あれ、本当だったんですか?」
「居るのは確かだ。だが早くしないと、別の場所へ移動する可能性がある。…見にきていたからな」
「リーダー? 何て?」
「何でもない。荷物は最低限にしたな。余計な物を持っていて、移動が遅くなってもしょうがないからな。それと移動中は、もし荷物を捨てる事になっても、アレだけは絶対に運べよ。それが交渉の役に立つはずだ」
「ああ!!」
「良し、行くぞ!!」
まさかあの子供にアレほどの力があるとは。それにやはり子供の側にいたのは、あの伝説の生き物で。しかもそれだけではなかった。エンシェントドラゴンにあの鳥の化け物まで。これじゃあ俺の命がいくらあっても足りやしねぇ。
本当だったらあの子供やあの伝説の魔獣、スノーラと言ったか? 奴等がディアブナスを倒し次第、今度はこちらから仕掛け、あの子供を攫おうと思っていたが。
俺の考えは間違ってはいなかった。途中までは。ラジミールにやられた魔法の症状を止めるためにも、奴等を完全に倒さなければならなかったが、それは途中で解決した。
ディアブナスの力に耐えきれず、そして奴らの攻撃でラジミールの姿がなくなると、俺の壊死していく症状はピタリと止まり、それからは部下に回復魔法をかけさせて、今は半分以上治療が終わっている。
そうここまでは俺の考えは間違っていなかった。このまま子供やスノーラ、そして力を持ってる奴等がディアブナスを倒せばと。しかし…。
まさか子供の周りにいた奴らが、伝説のドラゴンと、昔マサキとかいう勇者とスノーラと、共に戦ったとされている、あの伝説の鳥だったとは。
鳥の方は現れて少し経った時に、あの鳥だと分かった。面倒な奴が現れたと思ったが、まだ何とかなると、この時は考えていて。
だが、ディアブナス達が消え、街の周りの魔獣達を奴等が倒し始めた時、まさかあの姿を見るとは。男が伝説のドラゴンへと姿を変え、一気に魔獣達を倒したのだ。
俺はディアブナスがやられてすぐがチャンスだと思っていた。戦いが終わり、奴等が街やその周辺を確認したり、後片付けでドタバタしているうちに、子供を攫おうと。奴等の隙をつこうとしたんだ。
だがこれだけ化け物が集まっていたら、その隙をつくのは。必ず誰かが俺達の存在に気づき、俺達はディアブナス達と同じ事になってただろう。
それにもう、あの闇の精霊から光の精霊の事は聞いているだろうからな。光の精霊を助けるためにも、俺達の気配に気づけば、すぐに俺達の所へ来るはずだ。
ならば騒ぎに乗じて子供を攫うよりも、さっさとこの街からおさらばして、遠くで新たな仕事をした方が良いに決まっている。
俺達がこれから向かおうとしている街には、あの男がいる。空間魔法が得意で、一気に遠くまで移動する魔法を使う事のできる男が。
その男に頼み、奴等がすぐには追ってこれない所まで逃げれば。金はいくらでも払おう。それに奴は珍しい物を集めるのが趣味だからな。光の精霊を渡せば喜ぶはずだ。
その後光の精霊を助けにきた奴らに、その男が襲われようが俺には関係ない。それに俺達同様、遠くに逃げれば良いだけだろうしな。他の国に逃げるなり、それはその男が考えれば良いだけの事だ。
「寝ずに移動するぞ! 遅れた奴は置いていく!」
「はっ!」
「さっさと逃げようぜ」
「もうこの街に用なんてねぇからな」
俺達は暗闇を走り出す。逃げるなら今しかない。必ず奴らから逃げ切り、次の金儲けを。
*********
「しゅにょ? も、たべにゃい?」
『いつもよりも少ない』
『具合悪いなの? すぐにレンにヒールしてもらうなの』
『いや、別に具合が悪いわけではない。これからも動かなくてはいけないからな。あまりいつものように食べすぎると、動きが悪くなるだろう? だから今はこれくらいにしておくのだ。また後で食べるさ』
「ひーりゅしゅる、いちゅでもいっちぇ。ぼく、しゅぐにしゅるかりゃ」
『ああ、ありがとう』
我はレン達から離れエン達を呼ぶ。ちょうどエン達も食べ終わったところだ。
『奴等、動いたな』
『じゃあこっちもそろそろ動くかね』
『ねぇ、本当の僕も行かないとダメ? 僕はレン達とここの片付けを』
『お前ならすぐに追いつくだろう? 奴等がどんな魔法を使うか分からんからな。レン達に何かがないように、わざわざ街から遠ざけたのだ。我も早く移動できるが、お前は我々を乗せて移動しても、一瞬で奴等に追いつける』
『森の中で始末できれば、街にも被害がないだろうからな。ブローは連れていくのか?』
『一応な。向こうがどんな状況か。…もちろん絶対に助けるつもりだが、もしも連れて帰れない場合、ブローは我等の話しを聞くよりも、自分の目で見た方が良いだろう』
『力尽き、その場で消える場合もあるだろうからな』
『分かったよ、行くよ。そんな事言われて行かないわけにいかないだろう。まったくどうして人間っていうのは、こうも面倒なことばかり。そして生命を大事にしない奴らばっかりなんだろうね。ああ、もちろんレン達は違うよ』
『だからディアブナスなんて物が生まれたのだろう。さぁ、奴等の気配が森の奥へ進んだら。我等も奴等の元へ向かうぞ』
「リダー、何処に行くつもりなんだ」
「取り敢えず街から離れねぇとな。最低でも3つ向こうの街までは行かないとダメだ。奴等はきっと俺達追ってくる。あの精霊の話しを聞いてな」
「でも奴等が追ってくるなら、もっと遠くまで行かないとダメだろう?」
「お前ら忘れたか、3つ先の街に、あの男がいる事を。あの空間魔法が得意な男がな」
「そういえば最近、こっちの闇ギルドに移ってきたって言ってましたね。あれ、本当だったんですか?」
「居るのは確かだ。だが早くしないと、別の場所へ移動する可能性がある。…見にきていたからな」
「リーダー? 何て?」
「何でもない。荷物は最低限にしたな。余計な物を持っていて、移動が遅くなってもしょうがないからな。それと移動中は、もし荷物を捨てる事になっても、アレだけは絶対に運べよ。それが交渉の役に立つはずだ」
「ああ!!」
「良し、行くぞ!!」
まさかあの子供にアレほどの力があるとは。それにやはり子供の側にいたのは、あの伝説の生き物で。しかもそれだけではなかった。エンシェントドラゴンにあの鳥の化け物まで。これじゃあ俺の命がいくらあっても足りやしねぇ。
本当だったらあの子供やあの伝説の魔獣、スノーラと言ったか? 奴等がディアブナスを倒し次第、今度はこちらから仕掛け、あの子供を攫おうと思っていたが。
俺の考えは間違ってはいなかった。途中までは。ラジミールにやられた魔法の症状を止めるためにも、奴等を完全に倒さなければならなかったが、それは途中で解決した。
ディアブナスの力に耐えきれず、そして奴らの攻撃でラジミールの姿がなくなると、俺の壊死していく症状はピタリと止まり、それからは部下に回復魔法をかけさせて、今は半分以上治療が終わっている。
そうここまでは俺の考えは間違っていなかった。このまま子供やスノーラ、そして力を持ってる奴等がディアブナスを倒せばと。しかし…。
まさか子供の周りにいた奴らが、伝説のドラゴンと、昔マサキとかいう勇者とスノーラと、共に戦ったとされている、あの伝説の鳥だったとは。
鳥の方は現れて少し経った時に、あの鳥だと分かった。面倒な奴が現れたと思ったが、まだ何とかなると、この時は考えていて。
だが、ディアブナス達が消え、街の周りの魔獣達を奴等が倒し始めた時、まさかあの姿を見るとは。男が伝説のドラゴンへと姿を変え、一気に魔獣達を倒したのだ。
俺はディアブナスがやられてすぐがチャンスだと思っていた。戦いが終わり、奴等が街やその周辺を確認したり、後片付けでドタバタしているうちに、子供を攫おうと。奴等の隙をつこうとしたんだ。
だがこれだけ化け物が集まっていたら、その隙をつくのは。必ず誰かが俺達の存在に気づき、俺達はディアブナス達と同じ事になってただろう。
それにもう、あの闇の精霊から光の精霊の事は聞いているだろうからな。光の精霊を助けるためにも、俺達の気配に気づけば、すぐに俺達の所へ来るはずだ。
ならば騒ぎに乗じて子供を攫うよりも、さっさとこの街からおさらばして、遠くで新たな仕事をした方が良いに決まっている。
俺達がこれから向かおうとしている街には、あの男がいる。空間魔法が得意で、一気に遠くまで移動する魔法を使う事のできる男が。
その男に頼み、奴等がすぐには追ってこれない所まで逃げれば。金はいくらでも払おう。それに奴は珍しい物を集めるのが趣味だからな。光の精霊を渡せば喜ぶはずだ。
その後光の精霊を助けにきた奴らに、その男が襲われようが俺には関係ない。それに俺達同様、遠くに逃げれば良いだけだろうしな。他の国に逃げるなり、それはその男が考えれば良いだけの事だ。
「寝ずに移動するぞ! 遅れた奴は置いていく!」
「はっ!」
「さっさと逃げようぜ」
「もうこの街に用なんてねぇからな」
俺達は暗闇を走り出す。逃げるなら今しかない。必ず奴らから逃げ切り、次の金儲けを。
*********
「しゅにょ? も、たべにゃい?」
『いつもよりも少ない』
『具合悪いなの? すぐにレンにヒールしてもらうなの』
『いや、別に具合が悪いわけではない。これからも動かなくてはいけないからな。あまりいつものように食べすぎると、動きが悪くなるだろう? だから今はこれくらいにしておくのだ。また後で食べるさ』
「ひーりゅしゅる、いちゅでもいっちぇ。ぼく、しゅぐにしゅるかりゃ」
『ああ、ありがとう』
我はレン達から離れエン達を呼ぶ。ちょうどエン達も食べ終わったところだ。
『奴等、動いたな』
『じゃあこっちもそろそろ動くかね』
『ねぇ、本当の僕も行かないとダメ? 僕はレン達とここの片付けを』
『お前ならすぐに追いつくだろう? 奴等がどんな魔法を使うか分からんからな。レン達に何かがないように、わざわざ街から遠ざけたのだ。我も早く移動できるが、お前は我々を乗せて移動しても、一瞬で奴等に追いつける』
『森の中で始末できれば、街にも被害がないだろうからな。ブローは連れていくのか?』
『一応な。向こうがどんな状況か。…もちろん絶対に助けるつもりだが、もしも連れて帰れない場合、ブローは我等の話しを聞くよりも、自分の目で見た方が良いだろう』
『力尽き、その場で消える場合もあるだろうからな』
『分かったよ、行くよ。そんな事言われて行かないわけにいかないだろう。まったくどうして人間っていうのは、こうも面倒なことばかり。そして生命を大事にしない奴らばっかりなんだろうね。ああ、もちろんレン達は違うよ』
『だからディアブナスなんて物が生まれたのだろう。さぁ、奴等の気配が森の奥へ進んだら。我等も奴等の元へ向かうぞ』
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