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弟4章 狂信者集団と対決・前哨戦
229★どうせ、狙うのは心臓だから………
しおりを挟むただ、所詮は、輝虎も和輝達と変わらない感覚の持ち主だった。
なんせ輝虎は、治安の良くない南米と、不良外人が多い米軍基地を抱える沖縄県の両方を、行ったり来たりして育った男なので、輝虎はあっさりと意識を切り替えて、内心で頷いていた。
ふむ、拳銃の音、マフィア、米軍人の理不尽な暴力を考えれば
確かに、どうってことないな
それより、今身に着けたモノが、どのぐらい有効なのかを知りたい
より建設的で、和輝の考えが正しいと思った輝虎は、首を傾げて聞く。
「和輝、これは、どのぐらいの距離まで有効なんだ?」
もっとも実戦的なコトを聞いてくる輝虎に、和輝はニヤリッと嗤って言う。
「距離は、ゼロでもOKだぜ…勿論、ナイフにも有効だ
今、その証拠を見せてやるな」
和輝は、そう言ってテーブルに残っていた護身具に………極普通に、ミリタリーショップで売っている………ナイフを出して、突き刺して見せる。
すると、和輝が護身具に突き刺したナイフは、その先端からグニャグニャと、熱を加えられた飴のように曲がってしまった。
「………と、まぁ~……こうなるわけだ…」
その思いもよらないようなナイフの変化に、真奈が驚きの声を上げる。
「えっ?…えぇぇ~?…なに…これぇ?」
和輝は曲がったナイフを、叫んだ真奈に手渡してやる為に、目の前に差し出す。
「ほら、真奈……自分手で確認してみろよ」
そう言って、グニャグニャに曲がったナイフを、真奈の手に渡してやる。
和輝に手渡された真奈は、すかさず曲がりくねった刃の部分を触って確かめる。
そして、真奈は目をまんまるくして、真実を口にする。
「やだ…コレ…本物…本当に硬いよぉ~和輝兄ぃ~………」
真奈に答えて和輝はニヤッと嗤い、片目を瞑って、クスクスと嗤いながら、テーブルに乗っていた護身具をスイッと横によける。
そして、どかした護身具の下にあるテーブルは、傷ひとつ付いていなかった。
それは、護身具を身に着けている人間には、ナイフによる傷も、それを刺す衝撃すらも伝わらないコトを意味していた。
一部始終を見た真奈や優奈、輝虎に乙姫も護身具の効力を納得した。
結構キモの座っている乙姫が、1番建設的なコトを言う。
「それじゃ~……和輝君、私達は敵の攻撃から護身具が守れない
頭だけを守れば良いのね」
乙姫の言葉に、和輝はなんとも言えない表情で嗤う。
「う~ん……まっ…そんなところかな?………つってもなぁ
実際には〔バンパイア〕の退治方法で知られているのって
心臓を木の杭で刺し殺すっていうだろう
だから、あいつらは心臓しか狙ってこないんだよ
ある意味で言えば、これ以上無い安全な敵なんだよなぁ~……
流石に、誇り高い聖剣の騎士団ってところかなぁ~…なんてな
だから、あんまり怖がる必要はないぜ
なんせ、自分達は〔バンパイア〕退治していると思っている
心底思い込んでいるからな………心臓しか狙わないんだよ
そして、射撃の腕も確かだから、正確に、相手に返るからさ
………って、コトで荷物の準備は出来たかな?」
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