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ガブリエルとの別れ

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 翌日朝早く、ガブリエルは研修所を立つ事になった。レオンは、ウトウトしているアルスを抱きながら、ガブリエルの見送りをした。レオンは悲しい気持ちを抑えながら言った。

「ガブ。元気でね?また会える?」
「ああ。レオン、アルス。またな」

 ガブリエルはアルスの頭を優しく撫でてから、レオンを見て言った。

「レオン、お前には話しておこう。俺が何故冒険者になったのか」

 レオンはドキリとした。ガブリエルは女性である事を隠して、冒険者になろうとしていた。きっと深い事情があるのだろうと思っていた。ガブリエルは厳しい表情で言った。

「俺は父親のかたきを探すために冒険者になった」
「・・・。お父さんの?」
「ああ。父はある土地の領主だった。温和な性格で、領民たちからは慕われていた。だが父をうとましく思う連中もいた。そいつらが殺し屋を雇った。マフサという魔法使いだ」
「殺し屋の魔法使い?」
「ああ。俺はずっとマフサを探していた。だが個人で探すのには限界があった。冒険者になれば、どこの冒険者協会でも情報を引き出す事ができるからな。冒険者になれた今、俺は冒険者協会の情報網を使って、必ずマフサを探し当てる。そして、必ず父のかたきをうつ」

 ガブリエルの顔は、ゆるぎない決心に満ちあふれていた。危険だからやめてほしいとは到底言える雰囲気ではなかった。レオンはある決心をして口を開いた。

「ねぇ、ガブ。お願いがあるんだ」
「ん?なんだ、レオン。お前は俺の恩人だ。俺にできる事なら何でもいってくれ」
「ありがとう、ガブ。もしかたきの魔法使いを見つけたら、僕らにも連絡をくれないか?もちろんかたきうちの邪魔はしない。ガブがかたきをうつ時、僕たちは、ガブの側にいたいんだ」

 ガブリエルは驚いた顔をしたが、うなずいてくれた。

 レオンは、また眠ってしまったアルスを抱きながら、ガブリエルの背中が見えなくなるまで、ずっと見送っていた。

 レオンとアルスは、食堂のおばちゃんたちに朝食を食べさせてもらった。おばちゃんたちはレオンとアルスを涙ながらに見送ってくれた。

 最後にお世話になった教官にあいさつをした。教官は訓練中はとても厳しかったが、最後は笑顔で送り出してくれた。

 レオンとアルスは、故郷である精霊の村へ帰る事にした。

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