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レオン対カッタ

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 レオンはこれから自分が戦う相手であるカッタを、ジッと観察した。アルスはカッタを一目見て、人間ではなくなってしまったと評したが、レオンにはカッタの変化は見て取れなかった。

 レオンは自身の周りから、ツタ魔法を出現させ、一気にカッタに巻きつけ、締め上げた。だがカッタはちっとも苦しそうではなかった。ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべて言った。

「弱い、弱すぎだ。レオン、お前は人間のクズだ。俺がこの世に見切りをつけてやろう!」

 カッタが言葉を言い終えた途端、彼の身体に変化が起きた。カッタの身体が真っ黒になり、全身に刃のような突起が生えた。全身の刃は、レオンのツタをズタズタに切り裂いた。レオンはうわずった声で言った。

「カッタ、君は一体どうしてしまったんだ。まるでバケモノじゃないか!」

 カッタは魔物の力を得て、人間ではなくなってしまったのだ。カッタはニヤリと笑ってから、レオンに向かってかけ出した。速い。レオンは遠くの地面からツタ魔法を発動させ、自分に巻きつけ、その場から逃げた。

 カッタが腕を振りかざすと、それまでレオンが立っていた地面が大きく引き裂かれた。レオンがそのまま立っていたら、身体が真っ二つに引き裂かれていただろう。

 カッタは本気でレオンを殺そうとしている。レオンは死の恐怖に、全身に冷や汗をかく。脳裏には母の笑顔か浮かんだ。贈ったペンダントが、レオンの形見になってしまう。

 レオンはハッとして、ほっぺたを両手でパチンと叩いた。頬がジンジンと熱くなる。弱気になったら負けだ。考えなければ。レオンが魔物のカッタに勝つ方法を。

 レオンはあらゆる地面から、ツタ魔法を発生させ、縦横無尽にカッタの攻撃から逃れた。カッタはレオンがいた場所めがけて移動すると、その場に残っているツタを切り裂いていった。

 その行動は、逃げているレオンを怖がらせて楽しんでいるようだった。カッタには必死さがない。自分が負けるとは考えていないのだ。おそらくカッタが本気を出せば、レオンは一瞬で斬りきざまれてしまうだろう。

 カッタがレオンをあなどっている間に、活路を見い出さなければいけない。カッタはレオンの能力を、以前戦った時と同じだと思っているはずだ。レオンはこの間のカッタとの戦いに、アルスからもらった武器は使用していなかった。

 アルスがレオンに作ってくれた武器は、ツタ魔法でグルグル巻きにした敵を、カミナリ魔法で倒す事ができる。カミナリ魔法のスイッチを一回押せば、人間が気絶する程度の攻撃ができる。だがボタンを押し続けると、カミナリ魔法は発動し続けるのだ。

 この武器でカッタを倒すしかない。だがレオンがツタ魔法でカッタを拘束しても、身体中の刃でツタを斬り裂かれてしまうだろう。

 レオンはツタ魔法で逃げながら、辺りを見回した。
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