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本編
40 アリーヤ
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両親と妹と、ささやかな幸せに包まれて暮らしていたある日、それは突然に壊される事になった。
山奥にあった村が奴隷狩りに狙われ、怒号や悲鳴がそこら中に響き渡る中、妹の手を引いて逃げるだけで精一杯だった。
はぐれた両親を探す途中、気付かずに獣の縄張りに入ってしまって、唸り声をあげながら目の前に現れた大型の狼は、真っ先に妹に襲いかかっていた。
イリーナの悲鳴を聞き、無我夢中で木の枝を獣の目に突き刺し、それがたまたま致命傷を与えることができたのは一つ目の幸運だった。
狼は、そのまま地面に倒れてピクピクと痙攣し、動かなくなっていた。
一つの危機は去ったけど、イリーナに呼びかけても、胸を真っ赤に染め、目を閉じて返事をしてくれない。
蒼白の顔が、不安と恐怖を煽る。
誰か助けてと叫び、人を呼びに行く途中で偶然にその子を見つけたのは二つ目の幸運だった。
お花を摘むためにしゃがんでいたその子は、イリーナと同じ、2~3歳くらいの小さな女の子で、私達を救う事ができる特別な魔法を持っていた。
それに気付いた私は、良いとか悪いとかを考える間も無く縋るようにその子の肩に触れていた。
「?」
触れられた女の子は不思議そうに私を見上げてきて、でも説明する時間も惜しくてすぐにイリーナの元に戻った。
思った通り、あの子の持っていた魔法は癒しの魔法で、イリーナの傷は瞬く間に癒えて助けることができた。
その時にすぐにあの女の子の所に戻っていれば良かったのに、イリーナが助かった安堵のためにすっかり頭から抜け落ちてしまっていた。
気持ちが落ち着いた翌朝にあの女の子を探しに行ったけど、結局見つからず、誰かに相談できるはずもなく、成人する年齢になるまでその事を隠して生きていくしかなかった。
幸い、妹となんとか二人で生きていくことはできた。
たまたま近くの村に住んでいた原初の民の老夫婦が、私達を保護してくれたからだ。
質素で目立たない生活を心がけていたけど、18歳になって、借りたままだった魔法を無駄にせずに誰かのためになるように活用しようと思うようになった。
あの女の子の代わりに、それがあの子の為にもなると信じて。
村や村周辺で怪我や病気で困っているがいれば治癒を施し、感謝の言葉を向けられると、それはそのままあの子に向けられているのだと思うようにしていた。
自分の能力ではないのだから驕らず、見返りも求めず、ただただ困っている人の役に立てばと、それだけを思っていた。
そんな風に過ごして三年が経ち、私は運命的な出会いを果たすことになった。
森で怪我を負った彼、バージル王太子と出会えたのだ。
丁寧にお礼を述べる彼の優しさに触れ、彼を助けることができて、私の方が感謝をしたいくらいだった。
出会って数日のうちに、彼から王都へ一緒に帰ろうと言われた。
それが何を意味するのか、気付かないはずがなかった。
躊躇はなかった。
バージルとなら幸せになれると感じていた。
それに、今まで自分は人から借りた力がなければ何もできないと思っていたけど、バージルと王都へ行けば、過酷な環境で不当に使役されている同胞を救えるかもしれない。
それに、何よりも生き別れた両親が見つかるかもしれない。
バージルも協力すると言ってくれた。
そんな思いで王都へ行き、そして、一人の女性の存在を知ることになった。
「聖女様、ありがとうございます」
小さな子を抱く母親から、泣きながらお礼を言われた。
違う、私は聖女なんかじゃない。
いくら神聖魔法を使って、怪我や病を治したところで、食べる物がなければ生きられない。
避難民用の炊き出しはしている。
でも、具のほとんどない薄いスープだけでは、たいして空腹は満たされはしない。
知らなかったでは済まされない。
気付いた時には、彼女は投獄され、処刑された後だった。
いや、最初から彼女の存在に気付かない様にしていたのだ。
私はバージル王太子殿下を本当に愛していた。
王都に来た直後にエルナト様がバージル王太子殿下の婚約者だと知り、殿下を奪われたくないと、彼と結ばれたいと願って、でも、私が奪う立場になりたくないと、彼女の存在から目を逸らし続けていた。
そして、気付いた時には彼女が処刑された後だった。
よりにもよって、私達が結婚したその日に。
そんなつもりじゃなかった。
彼女に死んで欲しいとは、思ってもいなかった。
恐ろしいことに私が聖女だと祭り上げられ、本物の聖女である彼女が失われることになった。
私はただ、人から借りた神聖魔法が使えるだけだ。
どうしてこんな事になってしまったのか。
雨が降り続けている外に視線を向ける。
妹に会いたかった。
イリーナの住んでいた村は、もうすでに土砂と濁流に呑まれてしまっている。
妹の安否は分かっていない。
生きていると信じたい。
結婚式の日にあの子に会えなかったことが、私達の別離を運命付けたのだ。
村に迎えに行かせればよかった。
そうすれば、災害に巻き込まれることなんかなかったはずだ。
「アリーヤ」
彼が部屋に入って来た。
エルナト様の処刑を聞いた日から、バージルの目を見ることができない。
こんなにも恐ろしい人だとは思わなかった。
長年婚約者として接してきた女性を拷問した挙句に処刑して、平然としている。
きっと彼女から見れば私も同罪なのだ。
見て見ぬふりを、知ってて知らぬふりをした私は。
確固たる悪意はなかったとしても、最低な事を私はしてしまったのだから。
その罪を犯してまで欲した、愛した人を、今は拒絶している。
「アリーヤ、私の愛しい人。機嫌はまだ直らないのかい?アースノルト大陸に支援を求めに行くから、君も一緒に来てくれないか?国民のためにも」
国民のため。
もうそれしか私の存在意義は残されていない。
唯一私が償う機会があるとすれば、国民の苦しみを少しでも和らげることだけだ。
だからバージルと船に乗り、荒れる海へと旅立っていた。
アースノルト大陸に近付くにつれて、ある事に気付いた。
多くの精霊達が、アースノルト大陸にいるのだ。
それは以前に一度だけ見た、エルナト様の周りを取り巻いていた精霊達とよく似ていた。
似ているどころか意識して見ると、それは同じ性質を持つ者達だ。
まさか、エルナト様は生きているのでは?
その考えに至るのはごく自然なことだ。
神の御使いである聖女様が、簡単に神に見捨てられるはずがない。
そう言えば、エルナト様が処刑された後の遺体がどうなったかは聞いていない。
精霊の力によって蘇った可能性はあるのだろうか。
私達原初の民が特別な能力を持っているように、聖女様にだって、何か特別な加護が与えられていたのかもしれない。
希望が見えた。
エルナト様を探さなければ。
そして、私の愚かな過ちを懺悔して、エルナト様の地位を今度こそ守らなければ。
それをアースノルト大陸の騎士団長に必死に訴えたのに、相手にもしてもらえなかった。
どう説得すればいいのか途方に暮れてテントの外にでると、そこで信じられない事に、神が与えてくれた奇跡のように、イリーナの姿を見かけた。
嬉しくてすぐに駆け寄ったのに、でも様子がおかしく、確かに原初の民の気配であり、私のイリーナそのものなのに、他人を見る目で私を見て、一人の騎士の背中から離れない。
いくら話しかけても顔を強ばらせるばかりだ。
イリーナの幼なじみのエンリケに止められ、引き離されたけど、何もかもが納得いかなかった。
どうしてアースノルト大陸の人達は、私の話を聞いてくれないのか。
バージルやエンリケにまで説得されて、国に帰るしかなかった。
荒廃した大陸の、閉鎖された王都の中で人々に神聖魔法を使うだけの日々が再び始まった。
私にできることは、滅び行くこの大陸と運命を共にすることだけなのか。
「アリーヤ、悲観することはない。大丈夫だ」
バージルがどうしてここまで楽観視できるのかが不思議だった。
「まもなく聖女ダイアナをここに連れてくる。アリーヤの能力で、ダイアナの聖女としての力を奪えばいい」
私が能力を使って誰かの神聖魔法を借りたことを、バージルには伝えているけど、聖女の能力を奪えるとまでは言ってはいない。
そもそも、そんな事までできるとは思ってはいなかった。
「アリーヤが会わせてもらえるのならば、拐う必要もなかったのだがな。だが、あの野営地で君が騒ぎを起こしてくれたおかげで、影を上手く潜り込ませることができた。影達は君のことを慕っているから、喜んで任務に赴いてくれた。感謝しているよ、私の愛しい君」
ああ私は、本当にどれだけ罪深い存在なのか……
山奥にあった村が奴隷狩りに狙われ、怒号や悲鳴がそこら中に響き渡る中、妹の手を引いて逃げるだけで精一杯だった。
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イリーナの悲鳴を聞き、無我夢中で木の枝を獣の目に突き刺し、それがたまたま致命傷を与えることができたのは一つ目の幸運だった。
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一つの危機は去ったけど、イリーナに呼びかけても、胸を真っ赤に染め、目を閉じて返事をしてくれない。
蒼白の顔が、不安と恐怖を煽る。
誰か助けてと叫び、人を呼びに行く途中で偶然にその子を見つけたのは二つ目の幸運だった。
お花を摘むためにしゃがんでいたその子は、イリーナと同じ、2~3歳くらいの小さな女の子で、私達を救う事ができる特別な魔法を持っていた。
それに気付いた私は、良いとか悪いとかを考える間も無く縋るようにその子の肩に触れていた。
「?」
触れられた女の子は不思議そうに私を見上げてきて、でも説明する時間も惜しくてすぐにイリーナの元に戻った。
思った通り、あの子の持っていた魔法は癒しの魔法で、イリーナの傷は瞬く間に癒えて助けることができた。
その時にすぐにあの女の子の所に戻っていれば良かったのに、イリーナが助かった安堵のためにすっかり頭から抜け落ちてしまっていた。
気持ちが落ち着いた翌朝にあの女の子を探しに行ったけど、結局見つからず、誰かに相談できるはずもなく、成人する年齢になるまでその事を隠して生きていくしかなかった。
幸い、妹となんとか二人で生きていくことはできた。
たまたま近くの村に住んでいた原初の民の老夫婦が、私達を保護してくれたからだ。
質素で目立たない生活を心がけていたけど、18歳になって、借りたままだった魔法を無駄にせずに誰かのためになるように活用しようと思うようになった。
あの女の子の代わりに、それがあの子の為にもなると信じて。
村や村周辺で怪我や病気で困っているがいれば治癒を施し、感謝の言葉を向けられると、それはそのままあの子に向けられているのだと思うようにしていた。
自分の能力ではないのだから驕らず、見返りも求めず、ただただ困っている人の役に立てばと、それだけを思っていた。
そんな風に過ごして三年が経ち、私は運命的な出会いを果たすことになった。
森で怪我を負った彼、バージル王太子と出会えたのだ。
丁寧にお礼を述べる彼の優しさに触れ、彼を助けることができて、私の方が感謝をしたいくらいだった。
出会って数日のうちに、彼から王都へ一緒に帰ろうと言われた。
それが何を意味するのか、気付かないはずがなかった。
躊躇はなかった。
バージルとなら幸せになれると感じていた。
それに、今まで自分は人から借りた力がなければ何もできないと思っていたけど、バージルと王都へ行けば、過酷な環境で不当に使役されている同胞を救えるかもしれない。
それに、何よりも生き別れた両親が見つかるかもしれない。
バージルも協力すると言ってくれた。
そんな思いで王都へ行き、そして、一人の女性の存在を知ることになった。
「聖女様、ありがとうございます」
小さな子を抱く母親から、泣きながらお礼を言われた。
違う、私は聖女なんかじゃない。
いくら神聖魔法を使って、怪我や病を治したところで、食べる物がなければ生きられない。
避難民用の炊き出しはしている。
でも、具のほとんどない薄いスープだけでは、たいして空腹は満たされはしない。
知らなかったでは済まされない。
気付いた時には、彼女は投獄され、処刑された後だった。
いや、最初から彼女の存在に気付かない様にしていたのだ。
私はバージル王太子殿下を本当に愛していた。
王都に来た直後にエルナト様がバージル王太子殿下の婚約者だと知り、殿下を奪われたくないと、彼と結ばれたいと願って、でも、私が奪う立場になりたくないと、彼女の存在から目を逸らし続けていた。
そして、気付いた時には彼女が処刑された後だった。
よりにもよって、私達が結婚したその日に。
そんなつもりじゃなかった。
彼女に死んで欲しいとは、思ってもいなかった。
恐ろしいことに私が聖女だと祭り上げられ、本物の聖女である彼女が失われることになった。
私はただ、人から借りた神聖魔法が使えるだけだ。
どうしてこんな事になってしまったのか。
雨が降り続けている外に視線を向ける。
妹に会いたかった。
イリーナの住んでいた村は、もうすでに土砂と濁流に呑まれてしまっている。
妹の安否は分かっていない。
生きていると信じたい。
結婚式の日にあの子に会えなかったことが、私達の別離を運命付けたのだ。
村に迎えに行かせればよかった。
そうすれば、災害に巻き込まれることなんかなかったはずだ。
「アリーヤ」
彼が部屋に入って来た。
エルナト様の処刑を聞いた日から、バージルの目を見ることができない。
こんなにも恐ろしい人だとは思わなかった。
長年婚約者として接してきた女性を拷問した挙句に処刑して、平然としている。
きっと彼女から見れば私も同罪なのだ。
見て見ぬふりを、知ってて知らぬふりをした私は。
確固たる悪意はなかったとしても、最低な事を私はしてしまったのだから。
その罪を犯してまで欲した、愛した人を、今は拒絶している。
「アリーヤ、私の愛しい人。機嫌はまだ直らないのかい?アースノルト大陸に支援を求めに行くから、君も一緒に来てくれないか?国民のためにも」
国民のため。
もうそれしか私の存在意義は残されていない。
唯一私が償う機会があるとすれば、国民の苦しみを少しでも和らげることだけだ。
だからバージルと船に乗り、荒れる海へと旅立っていた。
アースノルト大陸に近付くにつれて、ある事に気付いた。
多くの精霊達が、アースノルト大陸にいるのだ。
それは以前に一度だけ見た、エルナト様の周りを取り巻いていた精霊達とよく似ていた。
似ているどころか意識して見ると、それは同じ性質を持つ者達だ。
まさか、エルナト様は生きているのでは?
その考えに至るのはごく自然なことだ。
神の御使いである聖女様が、簡単に神に見捨てられるはずがない。
そう言えば、エルナト様が処刑された後の遺体がどうなったかは聞いていない。
精霊の力によって蘇った可能性はあるのだろうか。
私達原初の民が特別な能力を持っているように、聖女様にだって、何か特別な加護が与えられていたのかもしれない。
希望が見えた。
エルナト様を探さなければ。
そして、私の愚かな過ちを懺悔して、エルナト様の地位を今度こそ守らなければ。
それをアースノルト大陸の騎士団長に必死に訴えたのに、相手にもしてもらえなかった。
どう説得すればいいのか途方に暮れてテントの外にでると、そこで信じられない事に、神が与えてくれた奇跡のように、イリーナの姿を見かけた。
嬉しくてすぐに駆け寄ったのに、でも様子がおかしく、確かに原初の民の気配であり、私のイリーナそのものなのに、他人を見る目で私を見て、一人の騎士の背中から離れない。
いくら話しかけても顔を強ばらせるばかりだ。
イリーナの幼なじみのエンリケに止められ、引き離されたけど、何もかもが納得いかなかった。
どうしてアースノルト大陸の人達は、私の話を聞いてくれないのか。
バージルやエンリケにまで説得されて、国に帰るしかなかった。
荒廃した大陸の、閉鎖された王都の中で人々に神聖魔法を使うだけの日々が再び始まった。
私にできることは、滅び行くこの大陸と運命を共にすることだけなのか。
「アリーヤ、悲観することはない。大丈夫だ」
バージルがどうしてここまで楽観視できるのかが不思議だった。
「まもなく聖女ダイアナをここに連れてくる。アリーヤの能力で、ダイアナの聖女としての力を奪えばいい」
私が能力を使って誰かの神聖魔法を借りたことを、バージルには伝えているけど、聖女の能力を奪えるとまでは言ってはいない。
そもそも、そんな事までできるとは思ってはいなかった。
「アリーヤが会わせてもらえるのならば、拐う必要もなかったのだがな。だが、あの野営地で君が騒ぎを起こしてくれたおかげで、影を上手く潜り込ませることができた。影達は君のことを慕っているから、喜んで任務に赴いてくれた。感謝しているよ、私の愛しい君」
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