聖女のわたしを隣国に売っておいて、いまさら「母国が滅んでもよいのか」と言われましても。

「──わかった、これまでのことは謝罪しよう。とりあえず、国に帰ってきてくれ。次の聖女は急ぎ見つけることを約束する。それまでは我慢してくれないか。でないと国が滅びる。お前もそれは嫌だろ?」

 出来るだけ優しく、テンサンド王国の第一王子であるショーンがアーリンに語りかける。ひきつった笑みを浮かべながら。

 だがアーリンは考える間もなく、

「──お断りします」

 と、きっぱりと告げたのだった。
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