タチバナ

10年前、国を二分した「魔術大戦」。魔法が扱える王族側のヴァルセリオン陣営。そして魔法が使えない非王族の人間達からなるノクタリア陣営。ヴァルセリオンとノクタリア間で起こったその争いに魔法を使えた少年タチバナ・ナオトは、子供ながらにヴァルセリオンの兵として戦場に立たされた。血に塗れた戦場で瀕死のまま生き延びたナオトに残ったのは、深い傷と答えのない問いだけだった。

それから10年後。
王立デミュナイア学園にナオトは入学する。表向きはかつての魔術大戦における王族とそうでない者との両者の溝を埋めるための施作の1つとして建てられた魔術学校。それ故にこの学園は王族の血を引く者とそうでない者どちらもが集う学び舎だった。

彼はそこで、とある目的のために強くなりたいという一人の王族の少女と出会う。名をミナセ・アズサ。高飛車で負けず嫌いな性格に辟易しつつも、どこか放っておくことのできないナオトは、強くなりたいという彼女の目的のために力を貸す。

しかし、そんな彼らの思いとは裏腹に運命は再びゆっくりと回り始める。ナオトとアズサ2人の出会いが交錯する時、10年前の戦火で途切れた物語が、今再び動き出す。
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