幸せのフォレ・ノワール ~傷ものと呼ばれた令嬢は、黒い森の悪魔伯爵と幸せを焼き上げる~
〝傷もの〟の汚名を着せられ、妹に婚約者を奪われ、全てを失った公爵令嬢ミルフィーユ。
父、オベール公は弁明を聞こうともせず、厄介払い同然にミルフィを黒い森へと嫁がせた。
ミルフィが、侍女のココットとともに、婚礼の馬車で向かった先は、一度入れば戻れないと恐れられる黒い森――フォレ・ノワール。
傷心のミルフィを迎えたのは、天使のように美しい家宰シルヴィと、血まみれで大猪を担いだ“悪魔伯爵”ファルケだった。
「この結婚は取引だ。惚れてもいない女を抱く気はない」
そう突き放したファルケだったが、かと言って、ミルフィを飾り物の妻にはしなかった。
「君には、何ができる?」
「砂糖を使わず、お菓子をつくってみせますわ」
敢然と答えたミルフィに与えられた試験は、砂糖を使わず、十五人の子どもに菓子を作ることだった。
良質な小麦、森の実り。
ミルフィが菓子を焼くたびに、貧しい領地に豊かさをもたらし、同時に、悪魔と呼ばれた夫の意外な姿も見えてくる。
居場所を失った令嬢と、不器用な愛し方しか知らない悪魔伯爵。
取引でしかなかった二人の結婚は、甘い香りとともに、少しずつ形を変え始める――。
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