後宮秘録 後宮史書官は真実を書かない
後宮に鬼が出た。
その史書官が記したのは、真実ではなかった。
夏国の後宮では、青白い鬼火が女たちを怯えさせていた。
女官長補佐・桂瑶の依頼でやって来たのは、怠惰な史書官・宝樹だった。
面倒くさがりで口の悪い宝樹を、気丈な桂瑶は容赦なく働かせる。
反発し合いながらも妙に息の合う二人は、「月の見えない庭で、高い月を見た」という証言の矛盾から、鬼の正体を追い始める。
だが、怪異の陰に隠されていたのは、人ならぬものより悲しい人の声や切なる願いだった。
ほかにも、消えた獅子犬、先帝の落胤ーー。
事件を解くほど、二人は後宮の最奥に潜む大きな罪へ近づいていく。
いがみ合っていたはずの二人の距離も、少しずつ変わり始める。
史書官の務めは、真実を後世へ残すこと。
それでも宝樹は、誰かを守るために「真実ではない記録」を選ぶ。
後宮サスペンス×謎解き×じれ恋バディ。
これは、正史から消された後宮の、本当の記録。
その史書官が記したのは、真実ではなかった。
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だが、怪異の陰に隠されていたのは、人ならぬものより悲しい人の声や切なる願いだった。
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