文字の大きさ
大
中
小
310 / 2,093
闘技祭 決戦編
バルの奇策
「私は抵抗しません!!だから、手荒な真似は止めて下さい!!」
「姉さんっ!!」
「マリア、これは私達家族の問題なの……大丈夫よ。きっと何とかなるわ」
「……分かりました。では、同行をお願いします」
アイラの言葉にバルは止めようとするが、彼女は首を振ってアルトの元へ赴く。そんな彼女の姿にアルトは安心したように武器を収めるが、彼等の前にバルが立ち塞がる。
「待ちなっ」
「……まだ邪魔をする気ですか?」
「バルちゃん……もういいの。この人達の邪魔をしちゃ駄目よ」
アルトとの前に大剣を携えたバルが割って入り、アイラは聞き分けのない子供を諭すように優しく語り掛けるが、バルは溜息を吐きながら頭を掻く。
「この姉妹ときたら……相変わらずあたしの事を子ども扱いするのが気にくわないね」
「バルちゃん?」
「バル?」
バルの言葉にアイラとマリアは彼女に視線を向けると、バルは苛立ちを隠さずに右腕を振り上げ、戦技の「硬化」を発動させる。筋肉を凝縮させ、肉体の硬度を高めるとバルは勢いよくアイラに向けて右腕を振り翳す。
「おらぁっ!!」
「はうっ!?」
「バル!?」
「なっ!?」
――全員の目の前でバルはアイラに対して右腕を振り抜き、彼女の頭部を叩きつける。流石のアイラも彼女のからの攻撃には予想外だったらしく、派手に地面に倒れてしまう。その姿を確認したバルは右腕を抑え、深いため息を吐き出す。
「ふうっ……本当にすいませんねアイラさん。でも、今のあんたのやり方は正しいとは私は思えないんだよ」
「バル……貴女、何を……」
「一体何をするんだ!!その方を誰だと思っている!?」
バルの行動にマリアだけではなく、アイラを捕まえにきたアルトでさえも彼女を止めようとするが、バルは即座に倒れているアイラを肩に持ち上げて兵士の包囲網を突破するために駆け出す。
「おら、退きな雑魚共っ!!」
「うわっ!?」
「ぎゃあっ!?」
大剣を振り払い、武装した兵士達を薙ぎ払いながらバルはアイラを抱えたまま走り出す。その姿を見てアルトは即座に引き留めるために兵士に命令を下す。
「何をしている!!早くその女を捕まえるんだ!!」
「待ちなさいバル!!貴女、何をっ……」
「うるさいんだよっ!!」
アルトとマリアの言葉を耳にしてもバルは止まらず、大剣を片腕のみで振り払いながら兵士を吹き飛ばし、包囲網を突破する。兵士の囲いから抜け出したバルは一度だけ振り返り、マリアに向けて大声を上げる。
「前々からあんたらの事は気にくわなかったんだよ!!この女はあたしが貰っていく!!邪魔をするなら誰であろうとぶっ飛ばすよ!!」
「何を言っている!!マリア殿、貴女達は王国を敵に回すつもり……うおっ!?」
バルの行動をマリアの指示だと判断したアルトはマリアを叱責しようとした瞬間、彼とマリアの間にバルが放り投げた大剣が突き刺さり、両者は驚いた表情を浮かべてバルに振り返ると、彼女はアイラを抱えたまま怒鳴りつけた。
「その女がどうなろうとあたしには関係ないんだよ!!そいつのせいでうちのギルドはいつも赤字に追い込まれていたからね……これはあの時の礼だよ!!」
アイラを抱えたままバルは足元の石を拾い上げ、マリアに視線を向ける。その際に彼女だけに分かるように目配せを行い、バルは拾い上げた石をマリアに向けて投擲した。
「喰らいなっ!!」
「あぐっ!?」
『マリア様!?』
投げ込まれた石に対してマリアは歯を食いしばり、敢えて「回避」せずに額に衝突させて倒れこむ。その光景を見て氷雨の冒険者たちは目を見開き、アイラを拘束するために訪れていた兵士達も呆気に取られる。その一方でバルは冷や汗を流しながらもアイラを抱え、駆け出す。
「おらっ!!追いつけるもんなら追いついてみろっ!!」
「待て!!逃がす……」
「てめぇええええっ!!」
「よくもマリア様をぉっ!!」
兵士が追跡を行う前に建物の前に集まっていた冒険者の中で魔術師の職業の人間達が先に杖を構え、容赦なくバルに向けて砲撃魔法を発動させる。射線上に存在した兵士達は慌ててその場を離れると、無数の砲撃魔法がバルの背後に狙いを定めて放たれる。
「ファイアランス!!」
「アイスカノン!!」
「フレイムアロー!!」
『うわぁあああっ!?』
本気で仕留める気で魔術師達は次々と魔法を発動させ、街中に爆発が生じる。様々な属性の砲撃魔法に狙われながらもバルはアイラを抱えたまま街道を駆け抜け、兵士達を振り切る。
「逃がすなっ!!追うぞっ!!」
「生かしちゃおかねえっ!!」
「あの女ゴリラ!!今日は我慢できねえっ!!」
「ま、待て!!落ち着け……うわっ!?」
王国兵よりも先に氷雨の冒険者達がバルの後を追いかけ、慌てて王国兵も彼等の後に続き、氷雨の冒険者ギルドから兵士達は立ち去った――
「姉さんっ!!」
「マリア、これは私達家族の問題なの……大丈夫よ。きっと何とかなるわ」
「……分かりました。では、同行をお願いします」
アイラの言葉にバルは止めようとするが、彼女は首を振ってアルトの元へ赴く。そんな彼女の姿にアルトは安心したように武器を収めるが、彼等の前にバルが立ち塞がる。
「待ちなっ」
「……まだ邪魔をする気ですか?」
「バルちゃん……もういいの。この人達の邪魔をしちゃ駄目よ」
アルトとの前に大剣を携えたバルが割って入り、アイラは聞き分けのない子供を諭すように優しく語り掛けるが、バルは溜息を吐きながら頭を掻く。
「この姉妹ときたら……相変わらずあたしの事を子ども扱いするのが気にくわないね」
「バルちゃん?」
「バル?」
バルの言葉にアイラとマリアは彼女に視線を向けると、バルは苛立ちを隠さずに右腕を振り上げ、戦技の「硬化」を発動させる。筋肉を凝縮させ、肉体の硬度を高めるとバルは勢いよくアイラに向けて右腕を振り翳す。
「おらぁっ!!」
「はうっ!?」
「バル!?」
「なっ!?」
――全員の目の前でバルはアイラに対して右腕を振り抜き、彼女の頭部を叩きつける。流石のアイラも彼女のからの攻撃には予想外だったらしく、派手に地面に倒れてしまう。その姿を確認したバルは右腕を抑え、深いため息を吐き出す。
「ふうっ……本当にすいませんねアイラさん。でも、今のあんたのやり方は正しいとは私は思えないんだよ」
「バル……貴女、何を……」
「一体何をするんだ!!その方を誰だと思っている!?」
バルの行動にマリアだけではなく、アイラを捕まえにきたアルトでさえも彼女を止めようとするが、バルは即座に倒れているアイラを肩に持ち上げて兵士の包囲網を突破するために駆け出す。
「おら、退きな雑魚共っ!!」
「うわっ!?」
「ぎゃあっ!?」
大剣を振り払い、武装した兵士達を薙ぎ払いながらバルはアイラを抱えたまま走り出す。その姿を見てアルトは即座に引き留めるために兵士に命令を下す。
「何をしている!!早くその女を捕まえるんだ!!」
「待ちなさいバル!!貴女、何をっ……」
「うるさいんだよっ!!」
アルトとマリアの言葉を耳にしてもバルは止まらず、大剣を片腕のみで振り払いながら兵士を吹き飛ばし、包囲網を突破する。兵士の囲いから抜け出したバルは一度だけ振り返り、マリアに向けて大声を上げる。
「前々からあんたらの事は気にくわなかったんだよ!!この女はあたしが貰っていく!!邪魔をするなら誰であろうとぶっ飛ばすよ!!」
「何を言っている!!マリア殿、貴女達は王国を敵に回すつもり……うおっ!?」
バルの行動をマリアの指示だと判断したアルトはマリアを叱責しようとした瞬間、彼とマリアの間にバルが放り投げた大剣が突き刺さり、両者は驚いた表情を浮かべてバルに振り返ると、彼女はアイラを抱えたまま怒鳴りつけた。
「その女がどうなろうとあたしには関係ないんだよ!!そいつのせいでうちのギルドはいつも赤字に追い込まれていたからね……これはあの時の礼だよ!!」
アイラを抱えたままバルは足元の石を拾い上げ、マリアに視線を向ける。その際に彼女だけに分かるように目配せを行い、バルは拾い上げた石をマリアに向けて投擲した。
「喰らいなっ!!」
「あぐっ!?」
『マリア様!?』
投げ込まれた石に対してマリアは歯を食いしばり、敢えて「回避」せずに額に衝突させて倒れこむ。その光景を見て氷雨の冒険者たちは目を見開き、アイラを拘束するために訪れていた兵士達も呆気に取られる。その一方でバルは冷や汗を流しながらもアイラを抱え、駆け出す。
「おらっ!!追いつけるもんなら追いついてみろっ!!」
「待て!!逃がす……」
「てめぇええええっ!!」
「よくもマリア様をぉっ!!」
兵士が追跡を行う前に建物の前に集まっていた冒険者の中で魔術師の職業の人間達が先に杖を構え、容赦なくバルに向けて砲撃魔法を発動させる。射線上に存在した兵士達は慌ててその場を離れると、無数の砲撃魔法がバルの背後に狙いを定めて放たれる。
「ファイアランス!!」
「アイスカノン!!」
「フレイムアロー!!」
『うわぁあああっ!?』
本気で仕留める気で魔術師達は次々と魔法を発動させ、街中に爆発が生じる。様々な属性の砲撃魔法に狙われながらもバルはアイラを抱えたまま街道を駆け抜け、兵士達を振り切る。
「逃がすなっ!!追うぞっ!!」
「生かしちゃおかねえっ!!」
「あの女ゴリラ!!今日は我慢できねえっ!!」
「ま、待て!!落ち着け……うわっ!?」
王国兵よりも先に氷雨の冒険者達がバルの後を追いかけ、慌てて王国兵も彼等の後に続き、氷雨の冒険者ギルドから兵士達は立ち去った――
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
スキルを奪われてお詫びチートをもらったので余生を楽しく……過ごさせてくれ
異世界に召喚されたその日、巻き込まれた青年に俺が得るはずだったスキルを奪われた。
お詫びとしてチートスキルを授かった俺は、第二の人生くらい好きに生きようと旅に出る。
行き着いた先は、寂れた町の場末の酒場だ。
なぜか客は男ばかりだが、日雇い冒険者や恐妻家の肉屋たちとの気楽な毎日は悪くない。
……ただ一人、どう見ても貴族のような美青年がこの地味な酒場へ通ってくる理由だけは、さっぱりわからない。
「お前らツケはやめろ」
そんな穏やかな日々を送っていたはずなのに、ある日、酒場へ厄介な依頼が舞い込んできた――。
他サイトでも掲載しています。
不定期更新です。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
祝 書籍化決定!!
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
コミカライズ企画進行中です!!
3巻発売です!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&3巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(3巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
夏にはいよいよコミカライズ連載開始予定です!乞うご期待!!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)