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放浪編
看守
「それでゴンちゃんはどうしてさっきの奴と戦ってたの?侵入者だから兵士に目を付けられていたの?」
「いや……ここでは働かないと食事を貰えないと聞いて俺は運搬作業の仕事を請け負ったんだ。だが、作業の途中で見かけた看守が持っていた武器を見て俺は声を掛けたんだが、何故か他の兵士に抑えつけられてここに運び込まれた」
「武器?」
「ああ……その看守はレナの大剣を持っていたんだ」
「退魔刀を!?」
ゴンゾウが作業中に見かけた看守がレナの退魔刀を所持していたらしく、何処で武器を手に入れたのかを尋ねようとしただけで彼は兵士に抑えつけられ、試合場で一方的に叩きのめされたという。レナは看守の中に自分の武器を持つ人間が居る事を知り、ゴンゾウから看守の特徴を尋ねる。
「そいつ、どんな奴だった!?」
「人間ではなかった。それと兵士達からはサイクと呼ばれていた……全身が赤色の鱗で覆われたサイクロプスだ」
「サイクロプス……」
監獄都市の看守は魔人族で構成されている事は知っていたが、レナの知るサイクロプスは冒険都市で遭遇した「アイン」だけである。外見は恐ろしいが優しい性格で人懐っこく、現在はヨツバ王国の王女であるティナに飼われている。しかし、この監獄都市のサイクロプスは看守を務める時点でレナをここまで案内したミノタウロスのように人語を理解する程の知能を持っている事は間違いなく、そんな人物に自分の退魔刀が渡った事にレナは唇を噛み締める。
(よりにもよって看守に退魔刀を奪われたか……面倒なことになったな)
ただの一般兵士ならばレナの敵ではないが、人間と比べて厄介な能力を持つ魔人族が相手となると奪い返す事が難しくなり、事前に相手の情報を調べる必要があった。レナはどんな場所で看守を見かけたのかを尋ねた。
「ゴンちゃんはその看守を何処で見かけた?」
「すまない……俺はまだここをよく知らないんだ。荷物を運び出すときも他の人間の指示に従っていただけで何処を移動していたのかも分からない」
「そっか……なら仕方ないね」
「何かお困り事ですか?」
ゴンゾウは自分が何処で看守と遭遇したのかを覚えておらず、申し訳なさそうに頭を下げる。だが、二人の背後から声が掛けられ、振り返るとそこには愛想笑いを浮かべたネズミが気配を全く感じさせずに立っていた。
「お前は……」
「これはどうもゴンゾウさん、こうして顔を合わせて話すのは初めてですよね」
「俺の名前を知っているのか?」
「こいつは自称情報屋だよ。この監獄都市の事に関してなら何でも知っているんだって」
唐突に表れたネズミにゴンゾウは驚くが、レナは呆れた表情を浮かべて自分達の話を盗み聞きしていたであろうネズミに話しかける。
「えっと……ハムスケだっけ」
「違います、ネズミです。そんな人間に媚びる愛玩動物に落ちた覚えはありません」
「なんでハムスターにそんなに辛辣なんだよ。元を辿れば同種だろ」
「まあ、そんな事よりもどうやらお二人は看守の事が気になっているようですね。よければ教えてあげましょうか?」
「本当か?」
「ええ、但し情報料は払ってもらいますけど」
看守の事を調べている二人に対してネズミはわざとらしい笑みを浮かべて情報料を要求するが、レナとゴンゾウの手持ちは銀貨が4枚だけである。
「……いくらだ?」
「そうですね、初めての方には情報料は銀貨4枚で結構ですよ」
「むうっ……高いな」
「普通なら情報料の最低金額は銀貨5枚ですからね。これでも安くしているんですよ、銀貨1枚分だけ」
試しにレナが情報料の金額を尋ねると、ネズミは彼等の持ち金を把握しているようにぴったりと全財産の金額を要求してきた。相場の情報料が知らないレナ達はネズミの言葉が本当なのかも分からず、銀貨を支払うべきか悩む。
「どうするレナ?」
「う~ん……俺だけならともかく、ゴンちゃんにもお金を支払わせるのはちょっとな……」
「俺は別に構わないが……」
ゴンゾウは自分が銀貨を支払う事を気にしないと告げるが、丁度良く彼の腹の音が鳴り響く。巨人族は人間よりも食事の量が多いため、定期的に食事を補給しなければ衰弱してしまう。そんな彼に今日の食事代を支払わせてまで情報を得たいとは思えず、レナはネズミの提案を断った。
「悪いね、今日の所は俺もゴンちゃんも食事をしたいから辞めておくよ」
「おや、本当によろしいんですか?僕以外の人間から看守の事を調べるのは難しいですよ」
「……じゃあ、尋ねたい情報を変更する。手っ取り早く、銀貨を簡単に稼げる仕事はない?」
ネズミの言葉にレナは面倒に思って質問内容を変更すると、彼はしばらくの間考え込むように腕を組み、何かを思い出したように指差す。
「それでしたら試合に出てみればどうですか?貴方の力ならきっとすぐにお金を稼げますよ」
「試合……あれの事?」
レナ達は試合場で殴り合う囚人の姿を確認し、そもそも試合の形式と賭け事がどのように成り立っているのかをネズミが説明する。
「いや……ここでは働かないと食事を貰えないと聞いて俺は運搬作業の仕事を請け負ったんだ。だが、作業の途中で見かけた看守が持っていた武器を見て俺は声を掛けたんだが、何故か他の兵士に抑えつけられてここに運び込まれた」
「武器?」
「ああ……その看守はレナの大剣を持っていたんだ」
「退魔刀を!?」
ゴンゾウが作業中に見かけた看守がレナの退魔刀を所持していたらしく、何処で武器を手に入れたのかを尋ねようとしただけで彼は兵士に抑えつけられ、試合場で一方的に叩きのめされたという。レナは看守の中に自分の武器を持つ人間が居る事を知り、ゴンゾウから看守の特徴を尋ねる。
「そいつ、どんな奴だった!?」
「人間ではなかった。それと兵士達からはサイクと呼ばれていた……全身が赤色の鱗で覆われたサイクロプスだ」
「サイクロプス……」
監獄都市の看守は魔人族で構成されている事は知っていたが、レナの知るサイクロプスは冒険都市で遭遇した「アイン」だけである。外見は恐ろしいが優しい性格で人懐っこく、現在はヨツバ王国の王女であるティナに飼われている。しかし、この監獄都市のサイクロプスは看守を務める時点でレナをここまで案内したミノタウロスのように人語を理解する程の知能を持っている事は間違いなく、そんな人物に自分の退魔刀が渡った事にレナは唇を噛み締める。
(よりにもよって看守に退魔刀を奪われたか……面倒なことになったな)
ただの一般兵士ならばレナの敵ではないが、人間と比べて厄介な能力を持つ魔人族が相手となると奪い返す事が難しくなり、事前に相手の情報を調べる必要があった。レナはどんな場所で看守を見かけたのかを尋ねた。
「ゴンちゃんはその看守を何処で見かけた?」
「すまない……俺はまだここをよく知らないんだ。荷物を運び出すときも他の人間の指示に従っていただけで何処を移動していたのかも分からない」
「そっか……なら仕方ないね」
「何かお困り事ですか?」
ゴンゾウは自分が何処で看守と遭遇したのかを覚えておらず、申し訳なさそうに頭を下げる。だが、二人の背後から声が掛けられ、振り返るとそこには愛想笑いを浮かべたネズミが気配を全く感じさせずに立っていた。
「お前は……」
「これはどうもゴンゾウさん、こうして顔を合わせて話すのは初めてですよね」
「俺の名前を知っているのか?」
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唐突に表れたネズミにゴンゾウは驚くが、レナは呆れた表情を浮かべて自分達の話を盗み聞きしていたであろうネズミに話しかける。
「えっと……ハムスケだっけ」
「違います、ネズミです。そんな人間に媚びる愛玩動物に落ちた覚えはありません」
「なんでハムスターにそんなに辛辣なんだよ。元を辿れば同種だろ」
「まあ、そんな事よりもどうやらお二人は看守の事が気になっているようですね。よければ教えてあげましょうか?」
「本当か?」
「ええ、但し情報料は払ってもらいますけど」
看守の事を調べている二人に対してネズミはわざとらしい笑みを浮かべて情報料を要求するが、レナとゴンゾウの手持ちは銀貨が4枚だけである。
「……いくらだ?」
「そうですね、初めての方には情報料は銀貨4枚で結構ですよ」
「むうっ……高いな」
「普通なら情報料の最低金額は銀貨5枚ですからね。これでも安くしているんですよ、銀貨1枚分だけ」
試しにレナが情報料の金額を尋ねると、ネズミは彼等の持ち金を把握しているようにぴったりと全財産の金額を要求してきた。相場の情報料が知らないレナ達はネズミの言葉が本当なのかも分からず、銀貨を支払うべきか悩む。
「どうするレナ?」
「う~ん……俺だけならともかく、ゴンちゃんにもお金を支払わせるのはちょっとな……」
「俺は別に構わないが……」
ゴンゾウは自分が銀貨を支払う事を気にしないと告げるが、丁度良く彼の腹の音が鳴り響く。巨人族は人間よりも食事の量が多いため、定期的に食事を補給しなければ衰弱してしまう。そんな彼に今日の食事代を支払わせてまで情報を得たいとは思えず、レナはネズミの提案を断った。
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「……じゃあ、尋ねたい情報を変更する。手っ取り早く、銀貨を簡単に稼げる仕事はない?」
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「それでしたら試合に出てみればどうですか?貴方の力ならきっとすぐにお金を稼げますよ」
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レナ達は試合場で殴り合う囚人の姿を確認し、そもそも試合の形式と賭け事がどのように成り立っているのかをネズミが説明する。
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