淀んだスープに星が降る
現在とはまだ地続きの距離。少し前に、世界は一度崩壊している。
旧世界のネットワークと技術は悉く失われ、世界には幾つもの見えない境界が走る。政府は野良犬じみた縄張り争いを繰り返しているが、人々の生活は強かで力強い。まるでごった煮のスープのような有様である。境界を越えて上京した吹雪も、その熱気に翻弄されつつ、少しだけ後戻りした世界を生きる。
お盆も終わる盛夏、境界川で一つの死体が発見された。事件は吹雪が雑用として勤める民政府警備隊に持ち込まれ、猟奇殺人の域を超えて厄介な様相を呈する。
次々と川に流れ着く死体、幽霊騒ぎ、戦前の失われた技術、川向こうの小さな工場、官民両政府の利権争い、対岸からの客人。全てを混ぜていく局地豪雨。
川を繋ぐ橋を越え、他人に触れ、境界を越える時にはいつも痛みがある。土砂降りの橋で、水没する民政府の研究所で、吹雪はまさに境界の縁を歩く事になる。境界川である多摩川を挟んで、やがて川の対岸、自らと他者、生と死、全ての境界は重なっていく。
旧世界のネットワークと技術は悉く失われ、世界には幾つもの見えない境界が走る。政府は野良犬じみた縄張り争いを繰り返しているが、人々の生活は強かで力強い。まるでごった煮のスープのような有様である。境界を越えて上京した吹雪も、その熱気に翻弄されつつ、少しだけ後戻りした世界を生きる。
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