セーブ・タイム〜荒廃した世界より〜
突如として同時多発的に全世界を襲った甚大な異常気象。気温上昇に始まり、豪雨・豪雪、干ばつ、暴風、ついには海面上昇までもが始まりいくつもの島が沈んだ。勿論、日本もその例外ではなく、激甚災害によって各地の都市機能は一週間ももたずに麻痺した。異常気象が世界を震撼させ始めてから二週間後、あろうことか更なる災害が異常気象とともに再び世界を襲った。火山の噴火、地震の発生とそれに伴う津波、奇怪なほど多発する竜巻。都市機能は壊滅し、行政機関が機能するはずもなくどの場所をとっても地獄絵図に劣らない景色が広がるばかりである。完全に死んだライフラインは屍を幾重にも積み重ねた。一連の天変地異から一か月、世界人口はそれまでの〇・五パーセントに減少。そして、新ウイルスの蔓延が始まった。このウイルスは後に『リモデリングウイルス』と呼ばれ、感染者の脳内に侵入するとその構造を変化させる。その中にウイルス侵入が好転的に作用し超人的な能力を手にする者たちが現れた。能力は筋力や知能の強化にとどまらず、やがて彼らは『モデルアルファ』と呼ばれるようになり、その能力開花の所以を解明しようとする研究が盛んに行われるようになった。当然の如く、モデルアルファの反乱が始まり、日本各地に戦渦が拡大していく。しかし、外国による日本侵攻をきっかけにモデルアルファへの対応を変える政府。それ以来世界では、他地域への侵攻においてモデルアルファは大きな障壁となっていった。――世界の狂乱から五年、日本は地方ごとに統治され、テレビやラジオ、ネット環境は不安定ではあるものの利用可能なまでに回復し、電気も辛うじて通っている。しかし、ほぼ人のいない街の風景は瓦礫の山ばかり。東北地方南部のとある廃街に佇む瓦礫に包まれた二階建ての建物には、男子二人と女子三人が外の風景からは到底想像することのできない整頓された空間で過ごしていた。世界の秩序が保たれていたとすれば、五人は今頃、高校生と小学生であったはずだ。モデルアルファの彼らが集う理由はただ一つ、この世界を生き抜くことだ。
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