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49.聖ドルフ国の反応

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「さぁ、着いたよ。ここが聖ドルフ国の聖都だよ!」

 その街は白い建物が多く、西洋な感じの建物が多い。これは勇者でやってきた者の影響だろうか。

 第一印象は白い。
 それだけであった。
 防壁も建物も全てが白いのだ。

「なんか落ち着かないな」

「はははっ。ボクも最初は落ち着かなかったよ。まぁ、慣れだよ慣れ」

「そうか?」

 苦々しい顔をして聖都に入って行く。

「これはこれは勇者様! お帰りで!」

「あぁ、はい。また出ますけどね」

「では、本当にSランクを討伐したのですか!?」

「えぇ」

「素晴らしい! して、そこの方は?」

 俺を指さして言っている。
 まぁ、そうなるとは思っていた。

「コイツは、ボク達と同じ世界から転生してきたらしいんだ。一緒に魔物の王の討伐に行きたくて許可を貰いに来たんだ」

 俺を怪訝な顔で見る門番。

「そうですか。ただ、神聖な任務です。許可されるかどうか……」

「そうだよね。でもね、許可してくれないとボク達も対応を考えるつもりだよ」

 ヒロは珍しく少し顔を怒らせて門番に言い放つ。

「左様ですか! 出過ぎた真似をしました! どうぞ! お通りください!」

「どうもありがとう」

 ヒロの笑顔が怖い。
 こういう時のヒロには触れない方が良いということを俺は知っている。
 下手に触れると八つ当たりをくらうのだ。
 
 聖都に入ると城までメインストリートがのびている。ヒロに聞いたのだが、王の前を遮るのはダメだという教えからひらけているらしい。

 これは攻めされたら一直線で王の元へ行けてしまうが、そういうのはいいんだろうか。
 そういう所をちゃんと伝えたらどうなんだ。歴代の勇者達よ。

「なぁ、ヒロ! 腹減ったからそこの肉丼食べてぇよ!」

「アケミもお腹すいたぁー! パスタ食べたい!」

「わたくしもパスタが食べたいですわ」

 皆好き勝手言っている。
 ヒロはよくコイツらと一緒にいられるな。
 俺なら我慢ができないところだろう。

「そっか。お腹すいたよね。でもさぁ、早くやる事済ませちゃってゆっくりした方がよくないかな? ご飯食べながらこれからテツの交渉しなきゃなぁとか考えなきゃいけないよ? それともさ、テツが参加できなくていいとか思ってないよね?」

 出ました。
 笑顔のヒロの圧力。

「ほら! さっさと行こうぜ」
「よーしっ! 行こう!」
「わたくしもその方がいいと思ってましたわ」

 これは皆ちゃんと一度はヒロに説教をされてるな。ヒロの説教は正座させられて軽く一時間は説教されるからな。

 俺も同期の中では実力が高くて天狗だった時代にチーム組んで、一人で突っ走って説教されたんだよな。
 あれは辛かった。

 王城に向かって歩いていく。
 口々に街の人が声をかけている。

「頑張って」「怪我すんなよ」「無理すんなよ」
 色んな声を掛けてくれて。
 ヒロ達もこの街に大分溶け込んでるなと、感心してしまった。

「勇者様! お帰りなさいませ!」

「ただいま。王様に話があるんだけど、会えるかな?」

「はっ! 少々お待ち頂ければ大丈夫かと!」

「じゃあ、お願いね」

「はっ!」

 出迎えた騎士に王様に会いたいと伝えるとセッティングして貰えるようだ。
 勇者って王様に会いたいから会わせてくれって言って合わせてくれるんだな。

 ヒロ達がこれまでに培ってきた信頼があるからなんだろうな。
 そういえばいつ召喚されたのかちゃんと聞いてなかったな。

 相当鍛えていたんだろうけど。
 Sランクに挑んでいたんだからな。

「こちらで、少々お待ち下さい!」

 客室に案内される。
 テーブルにはお菓子と飲み物が用意されていた。ショウ、アケミ、レイはがっついた。
 腹が減ってるところを無理矢理連れてきたからな。これくらいは仕方がないだろう。

 しばらく待つと玉座に案内された。
 ヒロに言われたのだ。「ボク達のやるのを真似してやってね。一応マナーがあるらしいから」と。謁見するにも膝を着いたり頭を下げたり、マナーがあるらしい。

 その通り、見様見真似でやってみる。
 ヒロは優雅な立ち振る舞いだった。
 俺はぎこちないだろうが、仕方がない。

「面《おもて》をあげよ」

 顔を上げると煌びやかな衣装を着たダンディーな王様と綺麗な王妃様が座っていた。
 雰囲気的にそんなに問題なさそうだが。

「ご苦労であったな。して、Sランクは討伐できたのか?」

「はい。このテツの力があったからこそ、討伐出来ました!」

「その方はどなたなのだ?」

「はい。私達と同じ世界から転生してきた私の親友です! この度、魔物の王の任務にも同行させて頂きたく、お願いに来ました!」

「おう。ヒロ殿の親友とな! それはよいのでは────」

「王よ! こんな何処の馬の骨とも分からない者を神聖な任務につかせてはどうかと思いますぞ!?」

 横に並んでたっていた家臣と見られる人達の中の一人。太った男が唾を飛ばしながら怒鳴ってきた。

「そうか? では、どうすれば良いというのだ? 折角来てくれたのにヒロの親友を追い出すのか?」

 王様が家臣に捲し立てるように言った。
 ヒロはその太った男を睨みつけると。

「大臣! 何がご不満なんですか!? 私と同じ世界から来たと言ったでしょう!?」

「それも本当かどうか疑わしいところ!」

「ボクはテツを同行させて貰えないなら魔物の王の討伐止めますよ」

「そ、そんな事したらこの国を敵にしますぞ!?」

「ふーん。戦えるんですか? ボク達と?」

 ヒロが問いかける。
 すると、大臣は怯んだ。

「その者の強さが疑わしいですぞ!? 騎士団長と戦って頂ければ良いのではないですか!?」

「それで、納得頂けるのであればいいですよ。なっ? テツ」

「あぁ。構わない」

 立ち上がって伸びをする。
 騎士団長との一戦が始まろうとしていた。 
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