『一日一回褒めるだけの簡単なお仕事です。』家なし金なし仕事なしの俺と美しい兄弟の話

 園田 隼人(そのだ はやと)は小さい頃からいつも周りの期待に応え、必ず期待以上の成果を残してきた。どんなに難しいことであっても努力を惜しまず、誰かを頼るなんてことはしなかった。頼ることは相手の大事な時間を俺なんかの為に使ってもらうということで、迷惑をかけてしまうと思っていたからだ。
 『人の迷惑になるようなことはするな』という両親の教えを愚直に守ってきたということもあるが、ひとりでもやれる能力が自分にはあると信じていたということでもあった。
 ひとりでは難しく途中躓いたとしてもそれも経験で、次へステップアップする為の糧ぐらいに思っていた。
 だから辛くても苦しくても、無理して無理してなにもかもに手を出した結果、園田は体調を崩し長期入院を余儀なくされてしまった。

 退院予定日が決まり、復帰後すぐに働けるように情報収集目的で覗いたグループチャット。そこで自分がみんなに嫌われており、今まで頑張ってきたことすべてが意味のないことに思え自暴自棄になり、会社も辞めてしまった。

 そんな時胡散臭い笑顔の男、乾 大輝(いぬい だいき)と出会い、とある仕事に誘われる。
 乾曰く、『一日一回褒めるだけの簡単なお仕事です。』

 それは一体どんな仕事なのか、詐欺ではないのか。
 不安は数々あれど、仕事も住むところもなく一文無しの園田には男の差し出した手を握るしかなかった――。



※第10回BL小説大賞にエントリーしています。
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