海より深い隠れ御曹司の溺愛

Saeko

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第一章 理不尽

第4話 穏やかな週末

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翌朝。目が覚めた私は、むくりとベッドから起き上がった。
子供のように泣き疲れて寝てしまった為か頭痛がしたので、軽い朝食をとり頭痛を薬飲んだ。

「今日が土曜で良かったわ。広澤先輩の嫌がらせはいつもの事だから平気だけど、翔太の裏切りとも言えるあれにはとても耐えられないものね。」

翔太のあの言葉を思い出す。
"准子のジュンは従順のジュンだ。”
なんて酷い言葉だろう。
名前を付けてくれた私の両親に謝って欲しいと思った。

私の実家は、都内の下町で電器店を営んでいる。
家族は両親と4つ年上の兄4人家族なのだが、母は私が中学2年の春に病気で他界してしまっていた。
母亡き後、父は私達兄妹を男手ひとつで育ててくれ、大学迄出してくれた。
工業系の大学卒業後、兄は父の店を継いだ。そして大学時代からお付き合いをしていた兄より1つ年下の女性-旧姓 武藤莉恵りえさんと25歳の時結婚。その後子供が2人生まれ、父はじぃじになった。

私は、兄の結婚を機に実家から独立。
同じ路線の5つ離れた街に1LDKのマンションを借りて住んでいる。
大学も、そして今勤務している会社へも、この部屋から通っているのだ。
5年も住んでいる街なので、個人商店を営む方々とも仲良くなっており、商店街に買い物に行くと、サービスして貰える程だった。

会社は休みだった為、私は巣ごもり自宅警備員になる事を決め、
「よし!買い出し行って、大好きな旅番組でも見よ~っと。」
と言って支度を済ませ、マイバッグを持って近くの商店街へと繰り出したのだ。


巣ごもり用の食材やお菓子の材料等を買い込み-おまけやらサービスやら有りで-部屋に到着すると、買った物を手早く収納してから、遅い昼食を作って食べた。

「どれから見ようかなぁ~。」
テレビ画面に写っているのは、録り溜めしておいた旅番組のリストだ。

何を隠そう。私は無類の旅好き温泉好きなのだ
多分……、亡くなった母の故郷も温泉で有名な所だったから、その影響を受けているのだろう。

「よし!今日は"伊豆の温泉巡り”にしようっと。」
そう言って私は、静岡茶を急須に入れると、リビングの片隅、琉球畳が敷いてある三畳程のスペースに置かれたちゃぶ台の上に湯呑みと一緒に置き、番組を食い入る様に見ながら、旅の世界に思いを馳せたのだった。
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