ですがそれは私には関係ないことですので

木山楽斗

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13.婚約者との関係

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「ペルファ……何をしに来たんだ?」
「リヴルム様……」

 リヴルム様とペルファ嬢は、ゆっくりと目を合わせていた。
 二人とも表情は複雑である。当然のことながら、お互いに思う所があるのだろう。

「何をしに来たなんて、なんとも冷たい質問ではありませんか。私は、あなたが婚約を結んだと聞きつけて、ここまでやって来たのです」
「……君だってわかっているだろう。これはつまり、家同士が決めた婚約だ。そこには僕や君の想いというものは入ってこない。入れることができないのだ」

 リヴルム様は、とても冷徹に言葉を発していた。
 その突き放すような態度は、彼なりの強がりなのだろうか。二人が愛し合っていたというなら、彼としても私との婚約に完全に納得できている訳ではないだろうし。

「……兄上、余計なお世話かもしれませんが、このような場所で話すというのは良くありません。客室を用意して、二人きりで話をしてはいかかでしょうか?」
「む……」

 そこでルベート様は、リヴルム様に遠慮がちに言葉をかけた。
 周囲の使用人達は、この状況に動きを止めている。その視線が集中しているのは、当然リヴルム様とペルファ様だ。
 そんな衆人環視の状況で、話をするのは気が引けるだろう。リヴルム様は、ゆっくりとため息をついた。

「確かにその通りだな……おい、今すぐに客室を用意しろ」
「あ、はい」
「ペルファ、とりあえず二人で話をするということでいいな?」
「ええ、そうしてもらえるなら、こちらとしても助かります」

 リヴルム様の言葉に、ペルファ嬢は頷いていた。
 その表情は、嬉しそうだ。まだよりを戻せると思っているのだろうか。

「リヴルム様、私は……」
「……申し訳ないが、このことは君には関係がないことだ。口出しはしないでもらおう」
「……そうですか」

 一応婚約者であるため、私も何か言わなければならないかと思っていた。
 しかしそれは、リヴルム様に拒否された。あくまで二人きりで、話を進めるつもりなのだろう。
 そういうことなら、私もわざわざ話に参加しようとは思わない。私はすぐに引き下がる。

「……イルメア嬢、申し訳ありませんね。兄上のせいで、あなたには迷惑をかけてしまった」
「いえ、お気になさらないでください。別に私も、自由恋愛を否定しようなどとは思っていませんからね」

 ペルファ嬢の行動は軽率としか言いようがないものではあるが、彼女の気持ちが完全に理解できないという訳ではない。
 とにかく今回の件に関して、私は成り行きを見守るしかないだろう。いい結果に落ち着いてくれるといいのだが。
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