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第2話 優しい兄
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私は、公爵家の長男であるアルードお兄様の元に来ていた。
「どうかしたのか? 少し顔が赤いぞ?」
「い、いえ、なんでもありません……」
アルードお兄様は、私の兄にあたる人物だ。ただ、少々複雑な事情がある人だ。
実は、私とアルードお兄様に血の繋がりはない。アルニラ様が未婚の際に付き合っていた人との間にできた子供なのである。
色々とあって、アルニラ様はお父様と婚約することになった。その際、お兄様の存在が発覚したのだが、それでも構わないとお父様は言い切ったらしい。
そういう事情があって、アルードお兄様は公爵家の一員となっているのだ。
「本当に大丈夫か? 熱でもあるのではないだろうな?」
「大丈夫です。至って、健康ですから……」
お兄様は、私の教育係のような立場にある。
貴族としての立ち振る舞いも、勉学も教えてくれたのは、彼なのだ。
そんな彼に対して、私は兄以上の思いを抱いている。そういう事情があるため、お兄様と対面すると少し顔が赤くなってしまうのだ。
「……医者を呼ぶか」
「いえ、大丈夫ですから、座っていてください」
「……そうか」
アルードお兄様は、結構心配性である。
私が顔を赤くするだけで、これなのだ。厳しい面もあるが、基本的には過保護。それが、お兄様なのである。
最も、お兄様は家族に対して、大抵過保護である。長男であるからか、妹や弟のことをいつも気にかけてくれているのだ。
「……お前を呼び出したのは、あることを知らせるためだ。使用人に言いつけてもよかったのだが、ついでにお前の様子を確認しようと思ったため、俺の元に直接呼び出した」
「そうなのですね」
「最も、今はそのことを後悔している。お前の顔を見る必要など、まったくなかったことが今わかったからな。俺の勝手で呼び出してしまい、すまなかったな」
お兄様は、このように私を呼び出すことがある。
それは、私という人間が成長しているかどうか確かめるためであるらしい。
しかし、今回、お兄様は呼び出したことを後悔している。恐らく、私の体調が悪いと思っているため、そのようになったのだろう。
私は、今度からはなるべく顔を赤くしないようにすることを決意する。勘違いされて、呼び出されなくなると寂しいからだ。
「そ、それで、知らせたいこととは、どういうことなのですか?」
「近々、第三王子であるクリムド殿下がこの屋敷を訪ねることになっている。色々と、相談することがあるからだ」
「相談することですか?」
「ああ、最も、お前が気にすることそれ程ないがな。俺が応対するため、特に心配することはない。もし屋敷内で会った時は、無礼のないようにしてくれ」
「わかりました」
お兄様の知らせは、来客の知らせだった。
第三王子であるクリムド様が訪ねて来るようだが、私にとって、それはそれ程関係ないことであるようだ。
それなら、あまり気にしなくていいだろう。用事でもなければ、来客がいるのに、わざわざ屋敷内を歩いたりしない。部屋に籠っていればいいのだから、気楽に思っておけばいいはずである。
こうして、私とお兄様の話は終わるのだった。
「どうかしたのか? 少し顔が赤いぞ?」
「い、いえ、なんでもありません……」
アルードお兄様は、私の兄にあたる人物だ。ただ、少々複雑な事情がある人だ。
実は、私とアルードお兄様に血の繋がりはない。アルニラ様が未婚の際に付き合っていた人との間にできた子供なのである。
色々とあって、アルニラ様はお父様と婚約することになった。その際、お兄様の存在が発覚したのだが、それでも構わないとお父様は言い切ったらしい。
そういう事情があって、アルードお兄様は公爵家の一員となっているのだ。
「本当に大丈夫か? 熱でもあるのではないだろうな?」
「大丈夫です。至って、健康ですから……」
お兄様は、私の教育係のような立場にある。
貴族としての立ち振る舞いも、勉学も教えてくれたのは、彼なのだ。
そんな彼に対して、私は兄以上の思いを抱いている。そういう事情があるため、お兄様と対面すると少し顔が赤くなってしまうのだ。
「……医者を呼ぶか」
「いえ、大丈夫ですから、座っていてください」
「……そうか」
アルードお兄様は、結構心配性である。
私が顔を赤くするだけで、これなのだ。厳しい面もあるが、基本的には過保護。それが、お兄様なのである。
最も、お兄様は家族に対して、大抵過保護である。長男であるからか、妹や弟のことをいつも気にかけてくれているのだ。
「……お前を呼び出したのは、あることを知らせるためだ。使用人に言いつけてもよかったのだが、ついでにお前の様子を確認しようと思ったため、俺の元に直接呼び出した」
「そうなのですね」
「最も、今はそのことを後悔している。お前の顔を見る必要など、まったくなかったことが今わかったからな。俺の勝手で呼び出してしまい、すまなかったな」
お兄様は、このように私を呼び出すことがある。
それは、私という人間が成長しているかどうか確かめるためであるらしい。
しかし、今回、お兄様は呼び出したことを後悔している。恐らく、私の体調が悪いと思っているため、そのようになったのだろう。
私は、今度からはなるべく顔を赤くしないようにすることを決意する。勘違いされて、呼び出されなくなると寂しいからだ。
「そ、それで、知らせたいこととは、どういうことなのですか?」
「近々、第三王子であるクリムド殿下がこの屋敷を訪ねることになっている。色々と、相談することがあるからだ」
「相談することですか?」
「ああ、最も、お前が気にすることそれ程ないがな。俺が応対するため、特に心配することはない。もし屋敷内で会った時は、無礼のないようにしてくれ」
「わかりました」
お兄様の知らせは、来客の知らせだった。
第三王子であるクリムド様が訪ねて来るようだが、私にとって、それはそれ程関係ないことであるようだ。
それなら、あまり気にしなくていいだろう。用事でもなければ、来客がいるのに、わざわざ屋敷内を歩いたりしない。部屋に籠っていればいいのだから、気楽に思っておけばいいはずである。
こうして、私とお兄様の話は終わるのだった。
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