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第7話 心配性な人達

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 私がクリムド様と話していると、様々な人がやって来た。
 アルニラ様、イルマリお姉様、ウィルテリナお姉様、さらにはアルードお兄様までいる。
 使用人達も何人か出てきているが、それは些細なことだ。今問題なのは、アルニラ様やお姉様達のものすごく心配そうな顔の方である。

「三人とも、怪我はなかった?」
「大丈夫? どこか打ったりしていない?」
「気分が悪くなったりとかも、していない?」

 クリムド様の横をすり抜けて、三人は私達に近づいて来た。
 三人とも、とても心配そうな顔をしてくれている。ここは、とりあえず、三人を安心させるのが先決だろう。

「えっと……私達は、怪我していませんから、大丈夫です」
「そうなの?」
「あ、はい。お姉様のおかげで、私は何も問題ありません」
「僕は、元々見ていただけなので、怪我していません」
「それなら、良かった……まったく、肝が冷えましたよ」

 私達の言葉に、三人は安心してくれた。
 本当に、三人はとても優しい。ここまで心配してくれるのは、中々嬉しいことである。
 ただ、三人とも王子の前だということを忘れているのはどうなのだろうか。公爵家として、そこも気にした方がいいと思うのだが。

「ふむ……」

 そこで、今まで一言も発さなかったお兄様が動いた。
 恐らく、お兄様はこの場を冷静に見ていたのだろう。
 だからこそ、動かなかった。きっと、ここで、王子に対して、公爵家を代表して、話をしてくれるはずだ。

「おい、お前は医者の手配をしておけ。念のため、診てもらった方がいいだろう」
「あの、お兄様……大丈夫です。本当に、三人とも怪我はなかったので……」
「だが……」
「お医者様を呼んでも、無駄です。オルリエは落下する前に止めたので……」
「念のためだ」

 私の予想に反して、お兄様はまったく冷静ではなかった。
 この人も、とても心配性なのである。何を言ってもその意見は曲げられそうにないので、お医者様はここに来ることになるだろう。

「……いやぁ、本当に、皆さん仲が良いのですね……」

 私達の様子に、クリムド様は少し呆れたような笑みを浮かべていた。
 それも、当然だろう。自分を放って、公爵家の人々は、家族の心配をしているのだ。その様子は、笑うしかないものだろう。
 恐らく、クリムド様はこれくらいのことで怒る人ではない。だが、王子として、この公爵家が本当に大丈夫なのかと思っていることだろう。
 私も、そこは少し心配である。優しい人達なのはいいのだが、流石に王子を放っておくのはどうなのだろうか。
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