無視された公爵夫人

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公爵様の夢現

予想外な結婚

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生まれた時から、私は優秀だと言われてきた。

兄の現国王に子が生まれなければ、私は次期国王だった。

でも、甥が生まれ王太子になると同時に、私は公爵に就任させられた。


1人での出発。

兄に派遣された優秀な人材のおかげで、公爵領の運営は落ち着き、社交に出る事になった。

しかし、未婚のままだと、女たちの争いに巻き込まれる。

それは本意ではないので、私は、仮結婚に踏み切った。

相手は辺境伯の娘で、名は…忘れた。
契約時に一言話をしたくらいだ。
顔も覚えてない。


どうせ金目当ての女だ。
公爵家の金を食い潰し…浮気が判明したら追い出そう。

そう言って、家令のバールに任せて行った。


バールの月一の報告書には、妻の悪いところはなく。
そのうち、財産が増える事業展開を見せ…資産が増えるなど…嬉しい悲鳴が聞こえた。

その反面。

私の社交は上手くいかず、元々考えていた事業の出資者は妻になった。
しかも、運営は私が考えていたものよりも最先端。
プライドもズタボロにされ、妻に合わせる顔がなくなっていった。


そこに来たのが、王家からの依頼だった。

「異世界から神子が召喚された。何もわからない神子にこの世界の案内として王太子を付けたが、何やら婚約者より不満が出ていて困っておる」

つまりは、王太子を諫めて、指導助言しろと言う役目だ。

神子に夢中な王太子の様子を見て、婚約者に同情した。

「不甲斐ないな」

初めはその程度だった。




私が、神子に夢中になるまでは…





神子の名前は「ツキナ」

名の通り月の似合う黒髪黒目の少女だった。




普段はハツラツとした明るい笑顔の美しい少女なのだが…
頑張り屋で我慢強く…
帰れない悲しさと上手くいかないと嘆き涙を見せるその顔を向けられた時に…

何かが弾けた。


庇護欲。

なのだろうか?







妻には悪いが、情はない。

近頃は…離婚も考えていた。


しかし、ツキナに買い与えたい品が多い。

私の稼ぎでは、賄えなくなり、嫁の領地での稼ぎに手をつけるほどだ。

しかし、嫁が居なくても、領地の稼ぎは消えない筈だ。

安泰になりしだい…嫁と円満離婚して、ツキナと領地で安泰に暮らしたい。


そんな欲が出てきた。


ツキナと段々と良い仲になり、それだけしか考えられない状態だった。





嫁の粗探しを情報ギルドマスターに依頼。

しかし、嫁の粗は何一つ出ない。

円満離婚を諦めて、資産を確認した。

離婚すれば殆どが嫁に渡ることが判明した。


私に入るのは半分以下。

「これでもいい方ですよ?浮気をしているのは公然の事実ですから。しかし、結婚されていたのですね?」

情報ギルドマスターすら、私の結婚を知らなかったらしい。

つまり、嫁をもらったことを知っているのは少ない。


嫁を消せばいいのでは?


婚姻届は現国王の兄しか見ていない。
兄は私に甘いから、事後報告しても私を庇ってくれるだろう。


私はその足で裏暗殺ギルド長に会った。

「無理ですよ!公爵領の守りや、公爵夫人自身の強さを考えてください」


即、
…断られた。










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