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第四十三話 養子に
しおりを挟む全ての仕事が終わり、紅茶を飲みながら一息ついているとベンネット伯爵から呼び出されたのだ。
なんだと思いながら転移魔法を使用し、ベンネット伯爵家の屋敷に戻った。
ベンネット伯爵家の屋敷に到着すると応接室に通された。
何故、応接室なんだ?
誰かお客さんでも来ているのか?
そんなことを思いながら、応接室のドアを開けた俺は驚いてしまった。
だって、応接室の中には俺の両親がいたのだから。
そのことに驚きながらも俺は椅子に座り、どうしているのかと聞くと街でたまたまリリア達に出会ったらしい。
そして、ベンネット伯爵家に来たみたいだ。
両親に今何してるのかと聞くと新しい商家を設立し、そこを成長させているらしい。
それを聞いた俺は両親らしいと思ってしまった。
本当に商人しているな。
その時にシードラゴンの時の映像を購入したと言われ、飲んでいた紅茶を思わず吹きそうになってしまった。
は、恥ずかし過ぎるだろ。
自分の両親にあの映像を見られるなんて。
近況報告を終えると両親が急に真面目な表情を浮かべたのだ。
「ビリー、シアナ君には親が居ないのだな?」
「いませんよ」
「そうか。それなら、私達がシアナ君の親になろう」
その発言に俺とベンネット伯爵は驚きで固まってしまった。
そして、母上は嬉しそうな表情を浮かべていた。
「ち、父上、シアナのことをなぜ養子にしようと思うのですか?」
「簡単のことだよ、ビリー。お前は時の人だ。そして、シアナ君はお前の婚約者の中で唯一親族になれる可能性がある子だ。だから、お前の親である私達が親族になれば色々と安心だろ?」
父上の言っていることは理解出来る。
デミリットはない。
何ならメリットしかないな。
「まぁ、本音は娘が欲しいだけだが」
その発言に俺とベンネット伯爵は思わず苦笑いしてしまった。
「父上、母上、シアナが良いと言うなら、大丈夫ですよ。ですが、無理強いだけはしないで下さい」
「勿論だ(よ)」
「では、私は早速許可を取って来ますわ」
そう言い残し、母上はニコニコのまま応接室を出て行ってしまった。
母上は昔から娘を欲しがっていたからな。
行動が早い。
まぁ、俺はこの時間を使って父上に聞きたいことがあるからいいが。
「父上、あれは今何しています?」
「うん?ああ、あれは私が持っている鉱山で働かせている」
「ビリー君、あれとは?」
「あれとはあれです。私が10歳で当主になってしまった原因です」
その答えを聞き、ベンネット伯爵は理解したような表情を浮かべていた。
そう、クソ兄だ。
関わりたくないが、余計なことをして欲しくないから父上に居場所を聞いたのだ。
鉱山にいるなら、余程のことが無ければ大丈夫だろう。
その後は商談の話などをしていた。
商談の話が終わると、応接室の中に母上とリリアとエレネとシアナが入ってきたのだ。
どうやら、シアナは両親の養子になることを承諾したらしい。
その後、書類などを処理してから正式に俺の両親の娘になった。
つまり、俺はシアナは血の繋がりが無い家族になった。
俺の両親がシアナの親になったため、ベンネット伯爵家の屋敷には1週間に一度のペースで来るようになった。
仕事は大丈夫なのか?
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