殿下へ。貴方が連れてきた相談女はどう考えても◯◯からの◯◯ですが、私は邪魔な悪女のようなので黙っておきますね

日々埋没。

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 私が王太子《ルブランテ》暗殺の一報を知ったのは、彼に婚約破棄を告げられてから一日と半時が経ってのことだった。
 その際犯人として事情聴取されたわけではないが、婚約者の身分でもあったために多少なりとも疑われて色々と追求を受けることになった。

 しかし自らの口でルブランテにはずっと前から浮気をされていたこと、それが原因で婚約解消の憂き目にあったことを赤裸々に語り、今回の一件には一切関与していないと控えめに主張した。

 それに加えて私ではなくロゼッタを脇に連れてプライベートルームに消えたルブランテの姿を彼の弟君が目撃しており、おかげでこちらの証言は全面的に肯定された。

 双方の名誉のためにくれぐれもこの件は内密に――そう宰相からは釘を刺されたものの、実情はどうであれ我が家としても家名を下げるだけだと表向きは婚約者の王太子を無残に暗殺された悲劇の公爵令嬢、ということになっている。

 現在、凶行を成し遂げた犯人としてロゼッタの足取りを追っているが、服をはだけて泣きながら城から走り去っていく姿が確認されたのを最後に杳《よう》としてその消息はしれないそうだ。

 宰相の口ぶりでは既に口封じをされたと見立てられているようだけど私は確信している。
 強かな彼女のことだ、無事に逃げのびて今頃はどこかで鼻歌でも口ずさんでいると。
 だから二度ともう会うことはないだろうけど、今後の平穏をひそかに祈っている。

 そしてこれは後に分かったことだが、ロゼッタという男爵令嬢は
 隣国のある男爵家には確かにロゼッタという名の嫡女がいたそうだが、当時の流行り病で十にも満たない年頃で死去したという。
 その上両親ともども褐色の肌を持ち合わせず、当然ながら娘も親と同じ雪のように白い肌だったそうだ。

 以上のことから偽物のロゼッタという暗殺者を手引きした黒幕がいることは確かで、ルブランテが亡くなったことでなんらかの利益を得た者たちが国内に少なからずいるという。
 その中にはも含まれており――。

「人の恨みというのは一体どこで買ってしまったのか案外本人には分からないものですね、殿下。かくゆう私も、あの時たまたま彼の独り言を耳にしていなければ、あるいは彼女が暗殺者だと気がつくことがなかったかもしれないけれど」
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