『聖女の翼』―パリの夜に彼と沈む―

完璧な制服と微笑みで自らを武装し続けてきた「私」。

高度1万メートルの機内で遭遇したのは,10年前の水泳部で自分に無垢な憧れを抱いていた後輩・航平だった 。

かつての面影を残しつつ,洗練された男として現れた彼 。
「私」は正体を隠したまま,パリの夜へと誘い出す 。

しかし,再会の歓喜は,彼が零した「かつて好きだった人」という言葉で凍りつく 。

その想い人は,かつての自分なのか,それとも――。

パリの冷たい石畳,喉の奥に残る苦いコーヒーの熱,そして記憶にこびりついた塩素の匂い 。
残酷な期待に胸を焦がしながら,「完璧な先輩」という聖域を自ら壊し,彼にすべてを塗り替えられることを望む美波の、長い夜が始まる 。
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