『半分』透明な家族のかたち
血の繋がらない父との会話は,いつも用件だけで終わる。母を亡くしてから,「パパ」と呼べなくなった自分に,いつ気づいたのか,もう分からない。銀行員の父は,感情を,利率や複利という言葉でしか語れない,不器用な人だった。菓子職人だった亡き母の夢を継ぎ,オーストリア留学を目指す私と,それを黙って調べ,学費を用意し,何も言わずに支え続ける父。呼び方も,気持ちも,最後まで名前のつかないまま,二人は,同じ夜の中を,少しずつ,並んで歩き始める。──不器用な家族の,静かな再生の物語。
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