【完結(続編)ほかに相手がいるのに】

もえこ

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~帰路~

逃避

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「… 拓海… はい、お茶… … 」

「ああ…さんきゅ…」

拓海はシャワーを浴びた後… 濡れた髪を片手で拭きながらゆっくりとソファーに座った。

「… … … 」

何と言えばいいか、わからない…

拓海も何も話さない…
私の方を、直接見ようともしない。

気まずい…  気まずい…

しばらく、長い沈黙が流れ、

「拓海っ… あの、… 」 さっきの、話の続きを……

私がそう、言いかけた瞬間

プチン・・・

おもむろに、

拓海がテレビのスイッチを付ける…。

「… … … … 」

私が普段は全く見ない…
ちょうど、拓海が好きなお笑い番組があっていた…。

テレビから流れる、普段なら少し騒々しいと感じる声や音に、ホッとする自分がいる…。

「… はは… … 」

拓海が渇いた声で、笑う…

「拓海…あの…さっきの話の、続きを… 」

「… はは… あっは …くくっ … 」

「…拓海…」

駄目だ… 拓海は、… 
もしかしたら…別れ話を…なかったことにしようとしている…?

拓海に、今どうにかしてこちらを向かせたところで…真剣に話を聞いてくれる気が、しない…

「あの…拓海…私も、お風呂、入ってくる…眠かったら先に寝てて…」

もはや、そんな風に言うしかなかった…。

私はその時点で、逃げた…
拓海と向き合うことから、逃げてしまった。

話は…明日の朝… 
必ず…絶対、明日話をして… 拓海にわかってもらう…。 

そんな風に、自分自身に言い聞かせる…

「…ああ… わかった……なんか疲れたから、マジで先に寝てるかも… 」

「… うん… 疲れてるでしょ… 寝てて… 」

本当に…完全に、眠っていてくれたらいい…

拓海が起きたまま…私を待っているのが一番、怖い…

私は内心で密かにそんなことを考えながら、バスルームへ向かった。 







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