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~密室~
正解
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「それはそうと…ごめん、気になるからもう…」
カチャと音を立てて…珈琲カップをテーブルに置いた杉崎さんの綺麗な指が、目の端に映る…。
「え… … ?」
「もう、正面から聞いていいかな…あの…さっきの話の、続き…なんだけど…」
そう言いながら、杉崎さんが私を見る…。
さっきの話の続き… 居酒屋の時の… ?
まさか…
杉崎さんの真剣な眼にドキリとするが、目を逸らすことはできない…。
「…は…はい…なんでしょう…」声が、震える。
「…彼氏の話だけど…彼が君の部屋に泊まって…水無月さんは… 」
「…は、い…」
まさか…
いつもは大人で…紳士で…
誰に対しても気遣いのできる人である、杉崎さんから…
そこまで細かく…
事の詳細を…拓海とのことを、聞かれるはずはない…
そう、思っていた… そう、信じたかった…
なのに…
その日の杉崎さんは、やっぱりいつもの杉崎さんとは少し違う…
漠然と、そんな気がした…
「…水無月さんは大丈夫だった…?」
真剣な表情… あまりにも、真っすぐな彼の視線…
「…え… … 」
やっぱり、視線を…
どうしても今までのように逸らすことができない…
「…つまり…君に突然別れ話をされて、ただでさえ機嫌の悪い彼に…水無月さんは何も…されなかったのかなって、気になってる…」
「あ… … 」
不意に、頭の中に蘇りそうになる情景に、くらりとしてくる…
駄目だ…
あの夜の事だけは言えない…
およそ、無理矢理だった拓海の行為…
拓海の、いつになく荒々しい強引なセックス…
願っても、避妊すらしてくれなかった…
そこまで杉崎さんに話すのは、絶対にダメだ…
「あの日から、間違いなく君は俺を避けてる…よね。君に自覚はないかもしれないけど、少なくとも俺はそう感じてる。もしかして彼に、何か言われたか、されたんじゃないかって…ずっと気になってて…でもごめん、何も聞かないのも、もう限界かなって…。俺はまだこんな立場だけど…君を好きなことに変わりはないから…本当のことを教えて欲しい…君はあの日…あの夜…」
「… は…い… 」 何… …
「… 彼と … 」
「… … … 」
怖い…わざわざ、言葉にされるのが怖い…
「彼と…一夜を共に…つまり、彼と…君は、やっぱり…そういうことを… …」
「… … …」 低い声が、耳に届く…
やっぱり、今日の杉崎さんは、とても…
杉崎さんらしくない…
「… 君は… 彼に、… … 抱かれた … …?」
「… …あ… … 」
頭が、ぐらぐらしてしまう…。
「俺からすれば…あの彼が…君に別れ話をされて…冷静に引き下がるとは…君に、何もしなかったとは、とても思えない… 」
「…そ…それは…」
「こんなことを気にする俺は、小さい、のかな…
いまだに君の彼氏でもなんでもないのはわかってる…これがかなり不躾な質問だってことも…。だけど、やっぱり…気になって、仕方ない…できれば本当のことを…話して欲しいと思ってる…」
「 … … … 」
どうすれば、いい… ?
拓海とは何もなかったと嘘をつくのが正解か…
それとも…
正直に、身体を重ねたと言うのが、正解か…
その時の私には、本当に…
全く、正解がわからなかった…。
カチャと音を立てて…珈琲カップをテーブルに置いた杉崎さんの綺麗な指が、目の端に映る…。
「え… … ?」
「もう、正面から聞いていいかな…あの…さっきの話の、続き…なんだけど…」
そう言いながら、杉崎さんが私を見る…。
さっきの話の続き… 居酒屋の時の… ?
まさか…
杉崎さんの真剣な眼にドキリとするが、目を逸らすことはできない…。
「…は…はい…なんでしょう…」声が、震える。
「…彼氏の話だけど…彼が君の部屋に泊まって…水無月さんは… 」
「…は、い…」
まさか…
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誰に対しても気遣いのできる人である、杉崎さんから…
そこまで細かく…
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なのに…
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漠然と、そんな気がした…
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「…え… … 」
やっぱり、視線を…
どうしても今までのように逸らすことができない…
「…つまり…君に突然別れ話をされて、ただでさえ機嫌の悪い彼に…水無月さんは何も…されなかったのかなって、気になってる…」
「あ… … 」
不意に、頭の中に蘇りそうになる情景に、くらりとしてくる…
駄目だ…
あの夜の事だけは言えない…
およそ、無理矢理だった拓海の行為…
拓海の、いつになく荒々しい強引なセックス…
願っても、避妊すらしてくれなかった…
そこまで杉崎さんに話すのは、絶対にダメだ…
「あの日から、間違いなく君は俺を避けてる…よね。君に自覚はないかもしれないけど、少なくとも俺はそう感じてる。もしかして彼に、何か言われたか、されたんじゃないかって…ずっと気になってて…でもごめん、何も聞かないのも、もう限界かなって…。俺はまだこんな立場だけど…君を好きなことに変わりはないから…本当のことを教えて欲しい…君はあの日…あの夜…」
「… は…い… 」 何… …
「… 彼と … 」
「… … … 」
怖い…わざわざ、言葉にされるのが怖い…
「彼と…一夜を共に…つまり、彼と…君は、やっぱり…そういうことを… …」
「… … …」 低い声が、耳に届く…
やっぱり、今日の杉崎さんは、とても…
杉崎さんらしくない…
「… 君は… 彼に、… … 抱かれた … …?」
「… …あ… … 」
頭が、ぐらぐらしてしまう…。
「俺からすれば…あの彼が…君に別れ話をされて…冷静に引き下がるとは…君に、何もしなかったとは、とても思えない… 」
「…そ…それは…」
「こんなことを気にする俺は、小さい、のかな…
いまだに君の彼氏でもなんでもないのはわかってる…これがかなり不躾な質問だってことも…。だけど、やっぱり…気になって、仕方ない…できれば本当のことを…話して欲しいと思ってる…」
「 … … … 」
どうすれば、いい… ?
拓海とは何もなかったと嘘をつくのが正解か…
それとも…
正直に、身体を重ねたと言うのが、正解か…
その時の私には、本当に…
全く、正解がわからなかった…。
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