【完結(続編)ほかに相手がいるのに】

もえこ

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~杉崎~

清算

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「…あはは…修哉さんて、ホント、面白い…自然消滅なんて、あり得ないって顔してる…ふふ…」

「…いや…だって、なんだかそれは、お互いにスッキリ…しないんじゃないかなって…」

「そうね…だから、スッキリするために…私との関係を綺麗に清算するために…修哉さんは電話やメールではなくて…私にこうやって直接、会いに来たのよね…。」

「… …そう、かも…しれないね… …」

   スッキリ… 綺麗に、清算… 

確かに…俺のしていることは、そういうことだが…

なんとなく、その言われ方に…少しだけ棘を感じたが、俺には言い帰す術も、もはや、言い返す意味もない。

この歳になっても…俺もまだまだ、修行が足りないのかもしれない…
俺の表情が、そうさせたのかもしれないが、智花が、ほんの少し慌てたように、言葉を重ねる。

「ごめんなさい…嫌な、言い方して…その…そういうところが、修哉さんの誠実さでもある一方で…残酷だなって…私はそう、思ったから…」  

「いや…君の言っている意味は、わかる…嫌な言い方だとも、全然思ってない…大丈夫だよ…とにかく俺は…」

言い掛けているところに、智花が言葉を、被せてきた。

「とにかく、私の顔を見て…しっかり、別れを伝えるべきだと思った…そういうことよね…?」

「… ああ… 」

「ちょっとだけ、待って…喉が、乾いちゃって…一口、珈琲を飲んでから…」

智花が、おもむろに珈琲に手を伸ばす…

マニキュアが綺麗に塗られた長い指が、目に映る…
その手の少しの震えに気付いたが、俺にはどうすることもできない…。

言えた… 
やっと直接、智花の顔を見て…別れを告げることが出来た…。

あとは、智花の反応を…返答を、待つだけだ…

緊張のためか…俺自身も、口の中が異様に渇いていたが、

   俺はそのまま、智花の言葉を待った。

           




 





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