【Ｒ18】【Bl】王子様白雪姫を回収してください！白雪姫の"小人"の俺は執着王子から逃げたい 姫と王子の恋を応援します

4 対面

嫌なことを思い出した。なんとクロはこの国の王子クロッカスだったなんて…。あの頃お忍びで城下町にきていたのだろうか。
もう二度と会うつもりはなかったのにこんなところで再会してしまうとは。

クロは俺を強く抱きしめ額にキスをした。


「キイロ捕まえた」

その言葉に何故か背筋がゾッとした。



俺は森に住んでいること、家にはとても美しい白雪姫がいることを話した。クロの話によると、こんな森の中にいるのは山道を馬車で移動している際に山賊の襲撃にあったからだという。

「今頃俺のことを大人数で捜索しているだろうから迎えが来るまでキイロの家にいてもいいか？」


王都まではよくものを売りにでかけているから彼を連れて城まで行くことは可能だ。でも一国の王子が、護衛もなしにひょっこり街へ出るなんて危険だし迎えを待つ方がいいのだろう。

実際のところあまり会いたくない人ではあるが、この物語の主要人物であり俺達小人族の救世主であることに変わりはない。
しかたない過去のことは忘れよう。
あの頃クロのおかげで生き延びることができたのも事実だし。

記憶の中の彼と現在の彼にあまり違いはなかった。今も昔も何を考えているのかわからないところは同じだ。

ちらりと隣を見る。身長は昔よりも随分と伸びている。180はあるんじゃないか。羨ましい。
顔は昔から変わらず彫刻かと思うほどに整っていた。
男性らしいしっかりした体つきをしている。腰の剣はお飾りじゃないようだ。
このビジュアルなら白雪姫様も文句ないだろう。






家に到着してドアを開ける。そこで初めて姫と王子は対面したのであった。
まるで一瞬時が止まったようだった。

予想通り姫は目を見開き頬をピンク色に染め王子を凝視している。性格は悪魔なのに恋する顔は可愛いんだな。
彼もまた白雪姫のことをじっと見つめている。

これで物語が進むはずだ。
俺達モブの小人はようやく暴君姫から開放されるのだ。王子が俺の知り合いであったことは誤算だったがうまくいくといいな。
俺は隠れてアオとその他の小人たちにピースサインをおくった。


「あなたが姫か。申し訳ないが数日、いや数週間私の迎えが来るまでここに滞在させてほしい」
王子がよく通る声でそう言うと姫がより一層頬を染める。

「あぁっええっと！！もちろんです！ああ、あなたは…？」

「私はアルベルト王国の王子　クロッカスだ」

「王子様！」



その日はパーティが行われた。７色の小人と白雪姫、王子様。本当に白雪姫の世界だ。
王子の前では白雪姫はやさしくてかわいい乙女だった。





　
パーティが終わり外で一人夜空を見上げているクロの横に座る。

「白雪姫様すごいかわいいだろ」
さぁプレゼンの始まりだ。

「んー、あぁそうだな」

歯切れ悪いな。

「白雪姫様いつもあんな感じなんだよ　気遣いができて…や、やさしくて　怒ることなんてめったにないし…　とてもおすすめ」

「へぇ」

「リーダーシップもあって姫にピッタリだと思う！国をうまくまとめてくれそう」
嘘だ。彼女がこの国の王妃になる日が来たら俺は絶対他国に逃げる。なんか税金高くなりそうだし。

「この近くにはお花畑とかきれいな湖とかおすすめのデートスポットたくさんあるんだよ　よければ明日にでも教えるぜ」
俺は王子にグッドサインを送る。

「なぜ俺が姫とデートしなければならない」

あれ、なんか不機嫌だ。そっかまだ初対面、デートなんてまだ先の話か…。まだ恋は始まったばかり。
だめだ焦っちゃだめだ確実に二人には恋に落ちてもらわなければ困るのだから。

「キイロ」
ふと彼が俺の名前を呼ぶ。そしてゆっくり顔を近づけ強引に口づけをした。

「…っっ！！」

噛みつくようなキスだった。
俺は軽くパニックになって彼の肩を力いっぱい押し返す。
すると彼がくすりと笑った。

「照れてるの？昔はたくさんしたのにな」
その言葉で顔がカッと熱くなる。そうだこいつキス魔だった。昔から何かとキスしてきた。あの頃俺はその行為にどんな意味があるのかわからなかったからなんとも思ってなかったけど…。


「て、照れてない！」

「まぁゆっくりなれていけばいい　毎日すればそのうちなれるだろ」

毎日？！
「は？冗談じゃな」

「キイロ君」

アオがいつの間にか俺の後ろに立っていて名前を呼びぎゅっと抱きしめてきた。

「パーティの片付け人手が足りないらしいよ　行こ」

そういって俺の腕を引く。

「あぁごめん！今行く」


ナイスタイミングとばかりに、俺は王子のほうを振り返らずに歩きだした。