裏通りの質屋に通う人妻は、夫との思い出を一つずつ預けていく
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雨の夜、結婚三年目の人妻・菜月が店を訪れる。預けたのは、夫にすっぽかされた記念日の夜の記憶。それだけのはずだった。
警戒心、羞恥心、夫婦の思い出、妻としての決まりごと。一つ預けるたびに彼女は軽く、明るく、無防備になっていく。何を失ったか思い出せないまま、その空白を埋めるように、今日も彼女は帳場に通う。夫の知らないところで、妻の中身は少しずつ、蔵の棚に移っていく――。
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