公式 1×1=LOVE

Hiiho

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ずっと×そばに=儚い望み 1

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架と一玖が恋仲になってから1ヶ月。

朝、駅で顔を合わせる以外にも、二人きりで過ごす時間が増え同じ時間を共有し肌を重ねる事で、より惹かれ合う一玖と架。

しかし


「架、一緒に風呂入ろ?」

「えっ?今から!?」

土曜の昼過ぎ。今さっき一玖のアパートに来たばかりの架は、少しだけ気が滅入る。
一緒に風呂に入るということは、一玖はすぐにでもセックスしたいということ。


  昨日も夕飯一緒に食べた後からベタベタしだして家に帰ったの結局夜中だったし、会えばセックスセックスって・・・。
  挿入してる時間も長いし、って挿入時間の平均とか知らねーけど。とにかく俺の尻はもうかなりユルくなってるような気がする。
  ヤッた後だって一玖はピンピンしてっけど、俺は泥になりたいくらい疲れてるんだぞ!

  それに・・・

「なあ一玖。俺、付き合うのとか初めてだしよく分かんねぇけど、恋人同士ってセックスしかすることねーの?どっか出掛けたり、なんかしたりとかさ・・・」

「なんかしてるでしょ?イチャイチャとか」

「それしかしてねぇし!」

んー、と唇を尖らせて近付く一玖の顔を押し返す架。


「何が不満なの?架だってきもちいーきもちいーって腰くねらせてるじゃん、いつも」

「そんなの体が一玖に逆らえないだけで・・・別にセックスが好きとかそういうんじゃ」

「どう考えても好きでしょ。いいんだってイイコぶんなくても。俺には素直になってよ」

素直になってもいいのなら、と架はボトムスのポケットから出したスマホの画面を一玖に見せる。

「俺、こういうとこ行ってみたい!」

「・・・テーマパーク?」

架は首を傾げる一玖に、画面をスクロールしていくつものテーマパークの写真を見せる。


「デートしたいってこと?」

「デートっつーか・・・。俺、こういうとこ行ったことなくてさ、人多いじゃん?  でも最近はほとんど気にならなくなったし、今まで行けなかった場所とか出来なかったこと、一玖と一緒に経験できたらって」

「架っ!」

「おわっ!」

いきなり飛び付いてきた一玖に押されて、倒れた勢いで架の上半身がベッドに沈む。
シーツから ふわっと舞い上がる一玖の匂いに、架は目眩がしそうになった。


  どれだけ他人の臭いが平気になっても、それに反比例して一玖の匂いに敏感になる。この香りに欲情して、一玖が欲しくて堪らなくなる。


「いいよ!  行こ、架の行きたい所。架の望みならなんでも叶えてあげる!」

一玖の明るい声に、架は淫蕩を吹き飛ばされる。


  ヤバかった・・・!イチャイチャを拒否しておいて、危うく自分から仕掛けるとこだった。一玖の匂いはマジで危険だ。


少し前まで、一玖の兄 太一が好んでつけていたムスクと白檀が混ざった香りに狂ったように反応していた架の体は、今はもう一玖の体臭や汗の匂いと白檀が混ざった匂いにしか反応しなくなっていた。


「架どこ行きたいの?  水族館?動物園?遊園地?  あっ服とか買いに行く?  架、オンラインでしか服買ったこと無いって言ってたもんね。デートしよう、デート!」

「あ、うん。えーと、どこにしよっかな~」

架はいやらしい気持ちになってしまった罪悪感を隠し、食い入るようにスマホを見る。



カチッ    カチャン

突然、一玖の部屋の鍵が開く音に、二人はドアを見つめる。

「鍵持ってんのって兄貴だ。来るなんて聞いてないんだけど・・・」


玄関へ行き、一玖がドアノブに手を掛けた瞬間

「一玖~」

開いたドアの隙間に入り込んできた人物が、ガバッと一玖に抱きついた。

「カスミ!?  お前、なんでここに!」

「へへへ~、家出♡  太一くんのとこ行ったら、邪魔だから一玖の所でも行って来いって、アパートの合鍵貸してくれたの~」

「また家出かよ!いい加減にしろよ、もう高校生なんだぞ!」

「高校生になったからって、親の言いなりになんなきゃいけないなんて法律ないもん。ってわけで、今日は泊めてねっ」

「は!?  今日!?  無理!」

「なんで~?誰かいるの?」


一玖の背中からひょこっと顔を出した少女と目が合う架。

「こ、こんにちは」

じっと見つめてくるクリクリとした瞳に、架は笑顔を返す。

「一玖の友達、ちょ~~~イケメンっ!東京って凄い。来てよかった!こんなイケメン田舎にいないっ!」

「あ、おい!カスミ!」

カスミと呼ばれる少女は、一玖の横をすり抜けて架に駆け寄り、両手を自分の顔の前で組んでクリクリの瞳をキラキラと輝かせる。


「え、っとぉ・・・初めまして。速水 架です」

突然一玖を訪ねて来たこの少女が何者なのかを知りたくて、自分から名前を告げる。

「速水 架さん・・・名前もなんかカッコイイ・・・。あっ、わたしカスミって言います。一玖の幼なじみで許嫁です」

「えっ?」

  おさななじみでいいなづけ・・・?・・・許嫁!?


架は頭が真っ白になる。




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