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夜を×一緒に=♡ 3
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「今日は『リピーターが多い宿』で全国1位に輝いた凪やさんに来ていまーす。広報の神谷さんにお話を伺いたいと思います」
「凪や広報の神谷です」
「神谷さん、この度は・・・」
女性レポーターと並んで歩きながら、兄の経営する旅館の紹介をする一玖。
その様子をフロントカウンターから遠目に見る架。
「いっくんと架くんのおかげかな~。女性のお客様がリピートしてくれる率が圧倒的なのは」
架の横では一玖の兄嫁えみが ふふっ、と笑う。
「カスミちゃんは同級生と駆け落ちしちゃったし、いっくんは彼氏を連れて来るしで一時はどうなっちゃうかと思ったけど」
「・・・すみません」
バツが悪そうに視線を逸らす架を、えみは揶揄うように覗き込む。
「あら。私はこの旅館が繁盛してくれるならなんでもいいのよ?支配人もね」
「一玖は父親に勘当されちゃいましたけど・・・」
「ふふ、そうねぇ。だけどここで働くのを許してる時点で、勘当って言えるのかしら?昔からお義父さんも太一もいっくんには甘いからなぁ」
そう言って、フロント横の事務室へと入って行く えみ。
一玖の大学卒業と同時に、婚約者のカスミが同級生との間に子供ができた事をきっかけに駆け落ちし、ここぞとばかりに架を連れて地元に帰った一玖は父から勘当を言い渡されてしまった。
父の不動産業を継ぐはずだった一玖は兄の提案で旅館の広報として、架は旅館の顔であるフロント係として働くこととなり、現在に至る。
「架~、どうだった俺。今日も完璧だったよね?また惚れちゃった?」
収録を終えた一玖が、事務所で休憩中の架にぎゅっと抱きつく。
「ハイハイ。完璧。可愛いリポーターの開いた胸元ばっか見てなきゃ惚れたまんまだったけどな」
「違うって!あの人、前の取材の時もあーやってセクシーアピールして来てたんだって!今日も『一緒にゴハンでも・・・』って誘われたし。あ、もちろん断ったよ」
「当然だろ!つーかオッパイガン見した言い訳になってねぇし!」
「あんなデカいの、誰だって見るだろ?不可抗力・・・」
「うるっせえ!離せ浮気もん!」
我ながら心が狭い・・・。不倫でもいいなんて思ってたくせに、一玖が自分だけのものになってからは些細な事でも嫉妬してしまう。
これが独占欲ってやつなのか。
自分にこんな一面があったのを知り少しの自己嫌悪と、一玖を独占してもいい立場になれたことへの幸福感。架は自然と口角が上がる。
「お~ま~え~ら~!職場でベタベタするんじゃない!特に一玖、お前は『許嫁に逃げられた老舗旅館の息子』ってこの辺じゃいい笑いもんなんだぞ。もっと気を引き締めろ!」
事務所のマッサージチェアに座った旅館の支配人である一玖の兄 太一が はあ、と溜息を吐く。
「笑いたきゃ笑えばいい。それで架と一緒にいれるなら安いもんだよ」
一玖の言葉に頬を薄ら染める架。油断した彼を見計らったかのように、素早く唇を奪って満足そうな一玖。
そんな甘い雰囲気の二人を見て胃もたれしそうな太一。
「やばっ、商工会の会長に昼誘われてたんだった。架、お寿司お土産に持って帰るからね」
「俺には?」
「えみちゃんと食べに行ったら?俺は兄貴の代わりにおっさん達と付き合いしてんだから、寿司食べたきゃ人前に出るようにしろよ」
「それはお前の方が向いてる」
もう一度架に軽いキスをして、一玖はそそくさと出掛けて行く。
「本当にあんなのがいいのか?君ならもっといい人ができそうだけど」
「一玖がいいです。あいつよりもっと、とか分からないし、一玖が最上級だと思ってるんで」
一玖がいなくなるやいなや、呆れたように聞いてくる太一に架は笑顔で答える。
「俺をここに置いてくれる支配人にもえみさんにも感謝してるし・・・俺は幸せですよ」
「そっか。架が幸せならそれでいい。午後からはチェックインのお客様で忙しくなる。頼んだぞー」
「はい」
太一がほぼ一日中篭っている事務室には、旅館オリジナルの白檀の香りと、彼の香水が混ざり合った匂いが淡く漂っている。
架はもうその香りに心を乱されることは無い。
彼を乱すのは愛しいただ一人の香り。
旅館の業務を終えて帰る車中、運転する一玖の横で不自然に脚を組む架。
「どうかした?」
「なんでもない。あ、脚がダルいだけ。危ないから前見てろよ!」
横目で見る一玖の視線から逃れたい架は窓の外を見る。
「ふーん・・・」
一玖は少し先に見えていたコンビニの大型車用駐車場、2台のトラックの間に車を停める。
他県ナンバーの大型トラック2台の間に不釣り合いに並ぶ黒のワンボックスカー。
シートベルトを外す一玖。
何か買うものでもあるのかと架はそのまま待つ。
「田舎ってさ、コンビニにこういう駐車場あるから便利だよね。架もそう思わない?」
「・・・? そうだな。長距離の運転手なんかは休めるし、トイレもある・・・」
「はあ。トボケてんの?架。大型車の間に隠れてこういう事できるからに決まってんじゃん」
「・・・わっ」
架の股間にぐっと手を入れ、一玖は小指の外側で硬くなった彼の性器を確認する。
「脚がダルいと勃つの?」
「なわけあるか!一玖が職場でき、キス、なんかするからっ、今日ヤんのかなぁ~、とか思っただけでっ」
「セックス、したかったんだ?」
運転席から助手席の方へ身を乗り出し、一玖は架の唇をぺろりと舐める。
「し、し、したくて悪いかよ!だって、お前ここんとこずっと忙しそうだしすぐ寝ちゃうし。隣で一玖の匂いがずっとしてんのに、手出してくんないとか何の拷問・・・」
「架も疲れてるだろうから気遣ってあげてたのに、そんなこと考えてたんだ?やーらしー」
暗い中でも架の肌が赤く染まっているのが容易に想像出来る。
組んだ架の脚を解かせ、ボトムスのフロントトップのボタンを外しジップを下げると、膨らんだ下着を指先で上下になぞる一玖。
「凪や広報の神谷です」
「神谷さん、この度は・・・」
女性レポーターと並んで歩きながら、兄の経営する旅館の紹介をする一玖。
その様子をフロントカウンターから遠目に見る架。
「いっくんと架くんのおかげかな~。女性のお客様がリピートしてくれる率が圧倒的なのは」
架の横では一玖の兄嫁えみが ふふっ、と笑う。
「カスミちゃんは同級生と駆け落ちしちゃったし、いっくんは彼氏を連れて来るしで一時はどうなっちゃうかと思ったけど」
「・・・すみません」
バツが悪そうに視線を逸らす架を、えみは揶揄うように覗き込む。
「あら。私はこの旅館が繁盛してくれるならなんでもいいのよ?支配人もね」
「一玖は父親に勘当されちゃいましたけど・・・」
「ふふ、そうねぇ。だけどここで働くのを許してる時点で、勘当って言えるのかしら?昔からお義父さんも太一もいっくんには甘いからなぁ」
そう言って、フロント横の事務室へと入って行く えみ。
一玖の大学卒業と同時に、婚約者のカスミが同級生との間に子供ができた事をきっかけに駆け落ちし、ここぞとばかりに架を連れて地元に帰った一玖は父から勘当を言い渡されてしまった。
父の不動産業を継ぐはずだった一玖は兄の提案で旅館の広報として、架は旅館の顔であるフロント係として働くこととなり、現在に至る。
「架~、どうだった俺。今日も完璧だったよね?また惚れちゃった?」
収録を終えた一玖が、事務所で休憩中の架にぎゅっと抱きつく。
「ハイハイ。完璧。可愛いリポーターの開いた胸元ばっか見てなきゃ惚れたまんまだったけどな」
「違うって!あの人、前の取材の時もあーやってセクシーアピールして来てたんだって!今日も『一緒にゴハンでも・・・』って誘われたし。あ、もちろん断ったよ」
「当然だろ!つーかオッパイガン見した言い訳になってねぇし!」
「あんなデカいの、誰だって見るだろ?不可抗力・・・」
「うるっせえ!離せ浮気もん!」
我ながら心が狭い・・・。不倫でもいいなんて思ってたくせに、一玖が自分だけのものになってからは些細な事でも嫉妬してしまう。
これが独占欲ってやつなのか。
自分にこんな一面があったのを知り少しの自己嫌悪と、一玖を独占してもいい立場になれたことへの幸福感。架は自然と口角が上がる。
「お~ま~え~ら~!職場でベタベタするんじゃない!特に一玖、お前は『許嫁に逃げられた老舗旅館の息子』ってこの辺じゃいい笑いもんなんだぞ。もっと気を引き締めろ!」
事務所のマッサージチェアに座った旅館の支配人である一玖の兄 太一が はあ、と溜息を吐く。
「笑いたきゃ笑えばいい。それで架と一緒にいれるなら安いもんだよ」
一玖の言葉に頬を薄ら染める架。油断した彼を見計らったかのように、素早く唇を奪って満足そうな一玖。
そんな甘い雰囲気の二人を見て胃もたれしそうな太一。
「やばっ、商工会の会長に昼誘われてたんだった。架、お寿司お土産に持って帰るからね」
「俺には?」
「えみちゃんと食べに行ったら?俺は兄貴の代わりにおっさん達と付き合いしてんだから、寿司食べたきゃ人前に出るようにしろよ」
「それはお前の方が向いてる」
もう一度架に軽いキスをして、一玖はそそくさと出掛けて行く。
「本当にあんなのがいいのか?君ならもっといい人ができそうだけど」
「一玖がいいです。あいつよりもっと、とか分からないし、一玖が最上級だと思ってるんで」
一玖がいなくなるやいなや、呆れたように聞いてくる太一に架は笑顔で答える。
「俺をここに置いてくれる支配人にもえみさんにも感謝してるし・・・俺は幸せですよ」
「そっか。架が幸せならそれでいい。午後からはチェックインのお客様で忙しくなる。頼んだぞー」
「はい」
太一がほぼ一日中篭っている事務室には、旅館オリジナルの白檀の香りと、彼の香水が混ざり合った匂いが淡く漂っている。
架はもうその香りに心を乱されることは無い。
彼を乱すのは愛しいただ一人の香り。
旅館の業務を終えて帰る車中、運転する一玖の横で不自然に脚を組む架。
「どうかした?」
「なんでもない。あ、脚がダルいだけ。危ないから前見てろよ!」
横目で見る一玖の視線から逃れたい架は窓の外を見る。
「ふーん・・・」
一玖は少し先に見えていたコンビニの大型車用駐車場、2台のトラックの間に車を停める。
他県ナンバーの大型トラック2台の間に不釣り合いに並ぶ黒のワンボックスカー。
シートベルトを外す一玖。
何か買うものでもあるのかと架はそのまま待つ。
「田舎ってさ、コンビニにこういう駐車場あるから便利だよね。架もそう思わない?」
「・・・? そうだな。長距離の運転手なんかは休めるし、トイレもある・・・」
「はあ。トボケてんの?架。大型車の間に隠れてこういう事できるからに決まってんじゃん」
「・・・わっ」
架の股間にぐっと手を入れ、一玖は小指の外側で硬くなった彼の性器を確認する。
「脚がダルいと勃つの?」
「なわけあるか!一玖が職場でき、キス、なんかするからっ、今日ヤんのかなぁ~、とか思っただけでっ」
「セックス、したかったんだ?」
運転席から助手席の方へ身を乗り出し、一玖は架の唇をぺろりと舐める。
「し、し、したくて悪いかよ!だって、お前ここんとこずっと忙しそうだしすぐ寝ちゃうし。隣で一玖の匂いがずっとしてんのに、手出してくんないとか何の拷問・・・」
「架も疲れてるだろうから気遣ってあげてたのに、そんなこと考えてたんだ?やーらしー」
暗い中でも架の肌が赤く染まっているのが容易に想像出来る。
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