私のイケメンが女体化するのだけど

ザッザッザッーーー

白く、純白で、書き始めのノートのような雪上に2人の男女が痕跡を残す。今、女と女になった。

「なあ、熱くねえか?」

「いや、脱がないでもらえますか? 女体化しないでもらえますか? 剣を扇風機みたいに振り回さないでもらえますか?」

 静かに、だが必死ように言う彼女の服装はバニーガールであった。トントンである。

 灼熱のように赤い髪を乱雑に切りそろえた彼女はボーイッシュ風で、腹を出したスポブラ、ホットパンツな服装で歩いている。片手に大剣を持ち、簡単そうに振り回している。細い腕で振り回しているのが幻のように感じてしまう。
 一方の彼女はバニー姿である。腰ほどまでに揃えられた黒髪は彼女の本来の素材を活かすものになっており、大和撫子のような。淑やかさと、芯の強さが見れる容姿である。一歩歩くごとにツッコミを入れなきゃ気が済まないのか2人の移動は賑やかなものになっていた。

 両方が、両方。美人で美女なのだ。見ている分には癒されるものがあるだろう。

 だが、世界は世紀末であった。パンデミックがあった。



 数十人を残して過去の行動を繰り返すだけの、形を似せた異形が住む世界には同じ周期の歯車しか存在しない。
 月曜日は月曜日として機能し、一週間後には同じ月曜日が始める。例えるならNPCしか存在しない世界である。

 そんな世界で生き残った人を救うための戦いが、戦うには女体化しなければいけない筋肉質のイケメンと、戦闘力はミジンコ程しかない目の保養要員の大和撫子の2人によって始まっていく。
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