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お兄様の結婚式
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「リリーが綺麗ね。」
「うん、良い匂いがするー。」
「シェリーお姉様もお好きだったわよね?」
「うん、シェリーはリリーとローザが好きだよ。」
「あら?セブ爺、そんな所で...何をしておりますの?」
我が家の庭園では、今、色とりどりのリリーが見頃ですの。
前世でいうマーガレットのような可憐な花で、優しい蜂蜜のような香りですので、獣人であるスリゼルの高性能な嗅覚を虐めることのない貴重な花ですわ。
ローザは薔薇に似ておりますが、咲いている状態では余り匂いませんのよね。
精油として精製すると、濃厚で上品な香りになりますのよ。
強い匂いはスリゼルが嫌がりますから、我が家では誰も使用しておりませんのよね。
シェリーお姉様も、肌のお手入れなどには私特製の椿油(クルルギ油)や無添加石鹸などをお使いですわ。
特別に香水などは着けずに、どうしても必要なときだけ...仄かーに香る程度になさっておりますの。
のんびりとお散歩をしていましたら、ふと、シェリーお姉様とのお茶会でリリーを飾ろうかしら?と思い立ちまして、綺麗に調えられた花畑を見渡しておりましたの。
そうしましたら、リリーの中に埋もれながら、何やらゴソゴソと作業しているセブ爺を見付けましたのよ。
少しニヤニヤしているのは何故かしら?
「ティリーお嬢様!スリゼル坊っちゃんも!
お2人はお散歩ですかな?
私は、若奥様のお好きな色のリリーを選んでおりました。
この時期では、ローザは無理ですが、リリーならばご用意出来ますからね。」
我が家の使用人の方々って、私達の考えを先回りするのが得意よね。
お茶会で飾るお花選びは、セブ爺に任せた方が良さそうね。
「まぁ、私も選ぼうと思っておりましたの。
セブ爺、今度のお茶会に相応しいリリーをいくつかお願い出来ますか?」
「このセブルスに、お任せくださいませ。」
「ありがとう。」
「セブさんって、お花好きだよね。」
「ええ、花は2番目の癒しでございますから。」
「?2番目?1番目は何?」
「ルーベリン公爵家の皆様の笑顔ですよ。
勿論、スリゼル坊っちゃまも入っておりますよ?」
「本当?ありがとう。」
「リリー選びはセブ爺にお任せして、そろそろ部屋に戻りましょうか。」
「はい、お気を付けて。
私は、もう少しここで選んでから戻りますので。」
「うん、じゃあね。」
スリゼルは尻尾をフリフリと振り、私は右手を振って、両手で手を振るセブ爺と別れました。
さて、部屋に戻ったら早速、シェリーお姉様に送るお手紙を書きましょう。
思い立ったら吉日ですもの、こういうのは早い方が良いですわよね。
「スリゼルは、ルーさんのところに行きますの?」
「うん、味見は出来ないけど、匂いだけでも幸せだもん。」
「そう、もしもルーさんにどれが良いかを聞かれたら、シェリーお姉様のお好きそうなお菓子を選んでね?」
「うん、別な日に、僕の好きなお菓子作ってもらうから良いの。
ちゃんと選ぶよ?」
「えぇ、お願いします。
それじゃあ、ここで。」
「行ってきまーす。」
浮かれた足取りで、トトットトットトッとスキップをするように駆けて行きましたわね。
本当に甘いものが大好きなんだから...甘いものを食べ過ぎて太らないように、注意が必要ですわね。
*
「うん、良い匂いがするー。」
「シェリーお姉様もお好きだったわよね?」
「うん、シェリーはリリーとローザが好きだよ。」
「あら?セブ爺、そんな所で...何をしておりますの?」
我が家の庭園では、今、色とりどりのリリーが見頃ですの。
前世でいうマーガレットのような可憐な花で、優しい蜂蜜のような香りですので、獣人であるスリゼルの高性能な嗅覚を虐めることのない貴重な花ですわ。
ローザは薔薇に似ておりますが、咲いている状態では余り匂いませんのよね。
精油として精製すると、濃厚で上品な香りになりますのよ。
強い匂いはスリゼルが嫌がりますから、我が家では誰も使用しておりませんのよね。
シェリーお姉様も、肌のお手入れなどには私特製の椿油(クルルギ油)や無添加石鹸などをお使いですわ。
特別に香水などは着けずに、どうしても必要なときだけ...仄かーに香る程度になさっておりますの。
のんびりとお散歩をしていましたら、ふと、シェリーお姉様とのお茶会でリリーを飾ろうかしら?と思い立ちまして、綺麗に調えられた花畑を見渡しておりましたの。
そうしましたら、リリーの中に埋もれながら、何やらゴソゴソと作業しているセブ爺を見付けましたのよ。
少しニヤニヤしているのは何故かしら?
「ティリーお嬢様!スリゼル坊っちゃんも!
お2人はお散歩ですかな?
私は、若奥様のお好きな色のリリーを選んでおりました。
この時期では、ローザは無理ですが、リリーならばご用意出来ますからね。」
我が家の使用人の方々って、私達の考えを先回りするのが得意よね。
お茶会で飾るお花選びは、セブ爺に任せた方が良さそうね。
「まぁ、私も選ぼうと思っておりましたの。
セブ爺、今度のお茶会に相応しいリリーをいくつかお願い出来ますか?」
「このセブルスに、お任せくださいませ。」
「ありがとう。」
「セブさんって、お花好きだよね。」
「ええ、花は2番目の癒しでございますから。」
「?2番目?1番目は何?」
「ルーベリン公爵家の皆様の笑顔ですよ。
勿論、スリゼル坊っちゃまも入っておりますよ?」
「本当?ありがとう。」
「リリー選びはセブ爺にお任せして、そろそろ部屋に戻りましょうか。」
「はい、お気を付けて。
私は、もう少しここで選んでから戻りますので。」
「うん、じゃあね。」
スリゼルは尻尾をフリフリと振り、私は右手を振って、両手で手を振るセブ爺と別れました。
さて、部屋に戻ったら早速、シェリーお姉様に送るお手紙を書きましょう。
思い立ったら吉日ですもの、こういうのは早い方が良いですわよね。
「スリゼルは、ルーさんのところに行きますの?」
「うん、味見は出来ないけど、匂いだけでも幸せだもん。」
「そう、もしもルーさんにどれが良いかを聞かれたら、シェリーお姉様のお好きそうなお菓子を選んでね?」
「うん、別な日に、僕の好きなお菓子作ってもらうから良いの。
ちゃんと選ぶよ?」
「えぇ、お願いします。
それじゃあ、ここで。」
「行ってきまーす。」
浮かれた足取りで、トトットトットトッとスキップをするように駆けて行きましたわね。
本当に甘いものが大好きなんだから...甘いものを食べ過ぎて太らないように、注意が必要ですわね。
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