キミと駆ける夏の空を


この世界には、「存在」と「非存在」のあわいがある。
境界の綻びを喰らう異形《カラリス》と、それに抗う者たち──《空律庁》。

高校生・蒼は事故の後、奇妙な病室で目を覚ます。
色が抜け落ちた世界。足音のない廊下。
そして、現れた“案内人”は、死んだはずの幼馴染・千夜だった。

「さっさと行くぞ、“あの世”」

冗談のような言葉とともに手渡された身分証。
そこに刻まれていたのは──空律庁 第三区域防衛管区 第三席、時雨千夜の名前。

死んだはずの彼女は、なぜそこにいるのか?
境界の向こうで何が起きているのか?
やがて蒼は、存在そのものを揺るがす戦いに巻き込まれていく。

“死”は終わりじゃない。
生への始まりでもない。

それは、「あちら側」への招待状。

空の果てへと続く、——たったひとつの時間を繋ぐ駆け道である。
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