もうひとつの世界、いちばん静かな夏



遠い未来、遥かな空。

人間はその肉体を捨て、人工電脳ネットワーク『アマデウス』の住人となっていた。

機械都市セクターの超高層ビル群は、今となっては人間という種族のいない世界である。

コンピュータネットワーク上にアクセス可能となった時代。

人々は有機的な肉体を捨てることで、その個々の情報そのものを電子に変換し、半永久的な寿命を手に入れることに成功していた。

今や「人」と「機械」とを区別する境界は存在していなかった。

時間の流れは統合化され、その活動領域は4次元的な量子領域にまで拡張していた。


「人」とはなにか?

「言葉」とは一体なんだったのか?


電子の海に満たされた粒子と波の彼方で、かつての地上の人々が、——探していたものとは?
24h.ポイント 0pt
0
小説 184,247 位 / 184,247件 SF 5,107 位 / 5,107件