アルバイト先の先輩は、オーガの末裔


高校を卒業した後、夢も目標もなく退屈な日々を送っていた綾小路真人は、トンネルを抜けた先にある渓谷の道筋に、

『温泉スタッフ大募集中!!』

と書かれた求人広告を目にする。

真人の住んでいた日野草町には、1200年余の歴史がある由緒ある温泉があり、その場所は「奥の原温泉」として人々に親しまれていた。

地元を出ようと市街地の就職先を探していた真人だったが、思いがけず出会った見慣れない看板に目を奪われ、足を止める。

「温泉スタッフ…か」

飲食店の経験もあった真人は、接客業なら大丈夫かな…

という軽い気持ちで電話をかけてみるが、電話先の「女将」は、その日のうちに面接ができないかと提案してきた。

思いがけない提案に戸惑う真人だったが、履歴書もスーツもいらないということで、ひとまず行ってみることに。

車を駐車場に停めて受付を通る。

「女将」がいるとされる奥座敷に向かう真人だった。

…が、そこで、露天風呂に浸かっている裸姿の『鬼』が、湯気の向こうに露わになって——
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