消滅都市のベッケンシュタイン



「じきに空が沈む」


神戸市街地の交差点。

歩行者天国の信号機の上で、スカートをはためかせる女子高生が1人、座っている。

並行世界の断層、——タイム・スクエア。

そこは、現実の「壁」に飲み込まれる、滅びる運命を待つ世界だった。

女子高生、——大坂楓は、時空要塞の都市、クロノポリスに住まう住人であり、“セカンド・キッド”と呼ばれる「アノマリー」の1人で、22世紀の世界へと時空を繋ぐ計画、『人工時間結晶化プログラム』の実行のための、重要な任務を任されていた。

世界は滅びる運命だった。

それは、1995年に起きた災害、”阪神淡路大震災“をきっかけとして引き起こされた、『第一次タイム・クラッシュ』が原因であり、ある科学装置を使ったこと、——起こるべきはずだった出来事を変えてしまったことが、全ての始まりだった。

世界の時空平面上に広がる境界、「ベッケンシュタイン境界」。

その境界に入った亀裂を塞ぐため、人類は時空の『修復』を行うことを試みる。

大坂楓は、街に出現した「ゼノ」を排除するため、1人奔走していた。

「ゼノ」は時空の亀裂から出てきた“魔物=外来種“であり、世界には元々存在していなかった異形の怪物たちだった。

彼らは人類最後の砦、クロノポリスへと侵入し、人類の計画を阻止しようと攻撃を続けていた。

彼女は街中の交差点で、ある少年と出会う。

並行世界の果て、——過去と未来が交錯する、時の平原の彼方で。
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