上 下
97 / 109

報・連・相はしっかりと!

しおりを挟む
説明を全て聞いてから国王と宰相は真っ白になっていた。

かつてバーニングハート家を訪れて見た、騎士団の教官だった女性達が、人化した古(いにしえ)の古龍だったいうのだ。

とても信じられなかったが、腕だけ龍に変化させた姿をみると信じるしかなかった。

コソッ
「この部屋を選んでよかった」
「ええ、まったくです」

他の者に聞かれていたら良からぬ事を企む者も出てくるだろう。

二人は冷や汗をかきながら話を聞いていた。

「あ、それとこちらの女性は古龍様ではなく、水の大精霊アクエリアス様です」

息子のライトがサラッと言うものだから聞き逃す所であった。

「ライトよ。すまぬがもう一度言ってくれぬか?」
「え、ええ、そうですね。私も年なのかよく聞こえませんでした」

再度、ライト王子が紹介すると──

「ありがとうライトよ。それとちょっと失礼します」

国王『すまぬが少し頼む!』
宰相『お任せ下さい』

アイコンタクトで会話すると、国王様はライトを連れて部屋を出ていった。
宰相さんが差し支えない失礼をしながら話を続けた。

バタンッ

「おい!どういう事だ!?知っている事を全部吐け!それより報・連・相(報告・連絡・相談)はしっかりせぬか!!!!」

国王はライトの頬を叩いて怒鳴った。

「す、すみません。口止めされていたので。あの方々に言われては逆らえません。でも母上は知っていましたよ?」

マジか!?

ウグッ
確かにそうではあるが………

そこで国王はハッとなった。
聞けばシオン令嬢を気に入り、小龍達も懐いているという。ならばライトが結婚すれば?

!?

「おい、お前はまだシオン令嬢を好いているのだろう?」
「なっ!今は関係ないでしょう!?」

国王はライトの両肩に手をガシッと置いて言った。

「これからは私も協力しよう!必ずシオン令嬢と婚姻を結べ!」

確かに国王が協力してくれれば色々助かる事もあるが──

「お気持ちは嬉しいですが、シオンの心は私の力で勝ち取ります!ジークとは正々堂々と戦いたいので」

きっぱりとライトは言った。

「………頑固者め。この話はまた今度しよう。他に隠している事はないか?」

ライトは少し考えてから話した。

「今回の件とは余り関係ないのですが実は──」

シオンが呪いを受けており、女神様が治す為にフィーネを送った事を話した
「呪だと…………」

息子のライトも呪いを受けて性格が歪んでいた時期があった。

国王は何か共通のものがあるのではと考えたが、時間もないので一旦保留とした。

「戻るが、何かあればフォローするようにな?」
「はい。わかりました」

こうして二人は部屋に戻った。
このやり取りは部屋に防音魔法が掛けられているとはいえ、アクエリアスや古龍には無意味であり、しっかりと聞かれていた。

『あらあら♪シオンは幸せ者ね』
『私達のお気に入りですもの。あれくらいは言って貰わないとね』

アクアと蒼は若いっていいわーね♪と念話で話し合っていた。
そしてだいたいの話が着いた頃、アクアが爆弾発言をした。

「さて、気になる事があります。この王城にシオンの切り離された呪いの気配がしますわ」

!?

「「なんだって!!!!?」」


一同は騒然となるのだった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

裏切られて可哀そう?いいえ、違いますよ。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,819pt お気に入り:127

王女殿下に婚約破棄された、捨てられ悪役令息を拾ったら溺愛されまして。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:25,670pt お気に入り:7,100

悪女と言われた令嬢は隣国の王妃の座をお金で買う!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:448pt お気に入り:18

私を追い出すのはいいですけど、この家の薬作ったの全部私ですよ?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:91,256pt お気に入り:12,200

婚約破棄された令嬢は、実は隣国のお姫様でした。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:26,100pt お気に入り:3,306

処理中です...