『ひだまり箱庭の小さき守り人 ~幼き女の子と六つのもふもふ物語~』
両親を亡くし、どんなにさびしい時も周りを思いやって笑顔をたやさずに暮らしてきた五才の女の子・さくらは、ある雨の夕方、古いお社のおくにあった『ひすいの箱庭』の中へとまねかれます。
そこは、人の思いがうすれて草木がすっかりかれかけていた小さな世界『日向(ひなた)の里』でした。
さくらが持って生まれた「にこにこ笑顔」には、冷えた空気をあたため、かれた大地に草花をめぶかせる不思議な力が宿っていました。
里でさくらを出むかえたのは、料理上手なたぬきの豆蔵、世話好きできれい好きなきつねのこはく、水と天気を動かす小さなりゅうのあお、大きくて力持ちなくまのげん、歌の上手な白い小鳥のちよ、そして草花にくわしいうさぎの雪丸という、六ひきのやさしい生き物たちです。
あたたかいおだしの手打ちうどんや、お日さまのにおいがするお布団、みんなで耕した畑でとれた小豆のどら焼きなど、六ひきの深い愛情とふかふかの毛並みに包まれ、さくらは生まれて初めて安心できる「家族」を手に入れます。
さくらが幸せそうに笑うたび、箱庭の世界は白いもやが晴れて少しずつ広がり、美しい桜並木や青い竹の林、実りゆたかな果物の森や田んぼが次々と姿をあらわしていきました。
春のお花見やたけのこほり、初夏の温泉と小さな夏祭り、秋の焼きいもや十五夜のおもちつき、そして冬のあたたかいおなべやこたつ。
四季折々の自然とていねいな暮らしをみんなで分かち合いながら、大みそかやお正月をすぎ、さくらは里に来て一年となる「六才のおたんじょう日」をむかえます。
おたがいに感謝のおくりものをわたし合ったその日、さくらの満開の笑顔によって山から『七色のたき』が流れ出し、箱庭は二度とかれることのない楽園へと生まれ変わりました。
少しお姉さんになったさくらは、自分でつめたお弁当を持って遠足に出かけたり、新茶つみやほたるの夜の流しそうめんを楽しんだりと、大好きなもふもふの家族といっしょに、今日もひだまりの中でにこにこと幸せな毎日をすごしています。
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