ユダツリーは花を咲かせない


 薄雪奏(うすゆきかなで)は自身の姿にコンプレックスを持っていた。高い背に切れ長の瞳、中性的なそんな自分が嫌いだった。だからこそ、女の子らしい女の子、空澄(そらすみ)メイに強く憧れを抱いているのだ。

 そんな彼女はある日、メイから。恋とは何なのか、そんな疑問を投げかけられる。恋をしたことがない奏はその言葉に対し上手く返せない。そして、メイがある先輩のことが好きなのだと気付いた。そのことは奏の心に説明のできない炎をつけるのだった。

 メイの思い人である日嗣青春(ひつぎあおはる)は怪しい噂の絶えない人であり、奏が入学して間もないころ、ちょっかいを掛けられた先輩なのだった。
 だから、彼女はメイと青春がくっつかないようにと、動き始めるのだった。

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