慈雪
チラチラと白いものが舞う。予感が胸を駆け抜けた。兄貴が来る。あの交差点に――。
定年を間近に控えたタクシードライバーの長谷川要司は、ある夜、雪の舞う交差点で不思議な光を見る。
それはずっと昔に起きた、忘れられない出来事を要司の胸に呼び起こした。
贖罪とともに生きてきた男にもたらされた、切なくも懐かしい、ひとときの再会――。
定年を間近に控えたタクシードライバーの長谷川要司は、ある夜、雪の舞う交差点で不思議な光を見る。
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切なくて温かいお話でした。
兄が亡くなってからずっと罪悪感を抱いて生きてきた要司に、「ずっとつらかったでしょう。今までお疲れ様でした」と言いたくなりました。
『要司はこの罪を独り占めしたかったのだ。』という一文にグッときました。『独り占め』という表現が出てくるところに作者様のセンスを感じました。
笹椰かなさま
この度は『慈雪』をお読み下さり、誠にありがとうございます。ご感想を拝読し、とても嬉しい気持ちになりました。要司にとって、贖罪とともに走り続けた、長く苦しい年月は、常に兄を感じながら生きることができた、かけがえのない日々でもあったのかもしれません。そんな彼に、優しいねぎらいと「お疲れ様」の言葉をかけてくださったこと、感謝いたします。
取り上げて頂いた一文も、想いをこめた一文だったので、嬉しかったです。
暑さの厳しい時期ですが、ひととき優しい雪の降る夜を感じて頂けたのであれば、このお話をお届けできて良かったなと思います。
どうもありがとうございました!
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