線を越えさせる人は、こちら側には来ない

厳しく、正確で、決して踏み込ませない上司。
叱責とフォローの繰り返しの中で、私はその距離に安らぎを見出していた。
叱られることでしか、彼と繋がれないと知りながら。
やがて関係は一線を越える。
けれど、それは長くは続かない。
彼は越える。けれど、決して壊さない。
その“線引き”の意味を知ったとき、私はようやく理解する。
自分がどこに立たされていたのかを。
触れられたはずの距離は、どこまでも遠いままだった。
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