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第6話 受験勉強とランニング

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翌日から俺の受験勉強生活が始まった。
とはいえ、俺は既に大卒レベルの知識を持っている。
だから勉強をしなくても良いが、そうなるとさすがに家族に怪しまれる。
なので復習ついでにきちんと勉強をすることにした。
いくら大卒だからといっても、意外と忘れていることもあるのだ。

「先ずは過去問かな。」

俺が受験する秀英学園の受験科目は、「数学・英語・理科」の三科目だ。
これは各学校によって異なるが、秀英学園はこの科目数が少ない代わりに難易度が高い学校で有名だ。

――さすが共学高の偏差値TOPだな。俺の知っている高校の入試より遙かに難しい。

俺は母さんに買ってもらった秀英学園の過去の入学試験の問題を見てそう思った。
一部高校の内容が入っている部分もある。まあ、私立だからよくあるか。
前世の私立の高校入試にも高校の範囲の内容が入っているのは見たことがある。

――けど、この難易度だと合格基準点はどれくらいなんだろう。

そう思った俺は、昨日母さんからもらったで検索する。
――実はこの世界の科学技術の発展度合いは前世の2020年と何ら遜色は無いのだ。

そしてそこには、秀英学園の過去の入試の合格基準点や最高得点等が記載されていた。

「えっと、基準点が……220点。最高点に至っては275点か…。」
テストは一科目100点満点で300点満点である。

――これを見て低いと思った人がいるかもしれないが、実はこれは結構ハードルが高い。
ここを受験するような優等生でこの点数だ。
仮に柏原学園の入試トップの人が受けても200点すら届かないだろう。
完全に難関高校である。

「一度実力の確認のために解いてみるか。」

俺はそう思って過去問を解き始めた。








###################################



280点。
これが俺の今現在の実力である。

――最高記録を更新してしまった。

ま、まあ、大卒レベルの記憶があるから当たり前と言えば当たり前だろう。

――けど。それにしては前よりも演算能力というか理解力というか。
そういう俺自身のスペックが上がっている気がする。


「気のせいか?……いや、これは俺自身の事なんだから確かめるか……」


そう思った俺は、前世で難しくて理解が進まなかった、大学の専門分野などを
スマホで調べて片っ端から読みまくった。
そして――――



「もしかしてこの身体ってチート?」



――これが俺の感想である。


……違いすぎるのだ。前世の頃と。物事を理解するスピードが。

「この頭の良さは異常な気がしなくも無いが、転生特権だと思っておこう。」

俺は、そういうことにして現実から目をそらした。
……まあ、頭が良くなったんだから悪いことじゃないよね…?



「さて、じゃあ、受験勉強の続きするか。」



――――俺はその後ぶっ続けで勉強をした。









############################



「今日はランニングと筋トレをしよう!」

――あれから数日後。俺は勉強が楽しく感じたからか、
毎日勉強をしてたら、いつの間にかどの年度の過去問を解いても満点が取れるようになった。
そして気付いた。
――モテるためには勉強だけじゃ無くて運動も必要だと。

そこから俺の行動は早かった。
涙目上目遣いで母さんに許可を取ると早朝ランニングを始めた。
勿論、俺が男だとばれないように厚手の服を着ている。

――ランニングってこんなに気持ちいいのか。

俺は走りながらそんなことを考えていると、前の方にランニングをしている女性を見つけた。
俺は少し走る速度を速め、その女性の横に並ぶ。

「こんにちは。ランニングって気持ちいいですね!」

「こんにちは。ええ、気持ちいいわね。……って?!男?!」

俺が女性に声をかけると、同じ女性だと思ったのか挨拶を返してくれたが、俺が男だと気付いた途端に挙動不審になった。――恐らく男と話した事が無いんだろう。

「な、なんで男がランニングしてるの?! ……しかもすごくイケメンだし……」

「えっと……あはは。ありがとうございます。」

「はっ……?!わ、わたし何てことを……」

――多分セクハラしたとか思ったんだろう。
イケメンって言うだけでセクハラとか。どうなってんだよこの世界は。

「いえいえ、大丈夫ですよ! 嬉しかったです。」

「そ、そう…?なら良かった……。男性はそういうの嫌がるって聞いたから……」


――やっぱりか。まぁ俺には関係無いけどね。


「それで、えっと……ランニングをしてる理由でしたっけ?」

「あ、うん!」

俺が嫌がらないと知ると女性は嬉しそう答えてくれた。
――やっぱり女性は笑顔がいいな。特にこの世界の女性は綺麗だし。

「えっと、健康のため?ですかね。」

「そ、そうなんだ!珍しいね!」

「お姉さんは?いつもこのあたりをランニングしてるの?」

「お、お姉さん?!うふふ……」

俺がそう呼ぶと、お姉さんはトリップしてしまった。

「だ、大丈夫ですか?」

「え、ええ!!大丈夫よ! えっと、ランニングは私の日課なの!」

「毎日ですか?!すごいですね!」

「う、うん。ありがとう。」

今度は顔を真っ赤にして俯いてしまった。かわいい。

――よし決めた。次からはお姉さんと一緒にランニングしよう。

「えっと、良ければなんですけど……」

「う、うん?」

「これからたまに、一緒にランニングしてもいいですか?」

「え、えええええ?!本気?!……なのよね。…………わかったわ!」

「ありがとうございます!」

「いいのよ!むしろありがとうご馳走様! ついでに他の女性から守ってあげるわ!」

「?? いいんですか? 助かります!」



――俺に朝のパートナーストーカーが出来た瞬間だった。







――それからまた数日後、ついに受験日当日がやってきた――――









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