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29話

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「判決を言い渡す……」


 緊張の一瞬だった。私やルシエドも緊張しているはずだけれど、目の前のボイド様とシエナ様はさらに緊張しているはずだし。裁判長の顔を見ながら唇が震えていた。


「ボイド・フューリ―……侯爵の称号を剥奪の上、懲役5年。シエナ・フューリ―は……」

「……!」


 判決を聞いたボイド様は肩を落としているように見えた。侯爵家から事実上追い出されることになるわけだけど、それに加えて懲役5年か……厳しいのか、緩いのか判断が難しかった。でも、彼は騙されていたから妹に。

「シエナ・フューリ―……侯爵家の称号剥奪の上、修道院送りとする」

「なっ……! 修道院……!? そんな……!」

「貴女が犯した罪を考えれば当然のことだ。それ以上の私語は控えて貰おう」


 シエナはなにも言い返すことが出来なかった。最終的に決まった二人の罰……これはおそらく、あの時、私達に深く謝罪をしたから減刑されている部分があるのだと思う。あの二人の態度次第ではもっと重くなっていたはずだ。


 そして、当事者のリューク……。


「今回の貢献を考慮にいれ、無罪とする」


 なんとリュークは無罪ということになった。まあ、彼のおかげで事件が解決したと言っても過言ではないからね。働く場所がなくなると大変だと思うし。リュークはその判決を真摯に受け止めているようだった……。

「やはりただでは済まなかったね。フューリ―家は事実上、没落のようなものだし……ボイドもシエナも今後、かなり大変な目に遭うだろう」

「そうね……」


 同情するわけではないけれど、二人の今後が気になって仕方なかった。まあ、それだけのことをしたのは事実なんだけどね……。
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