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3章 農園カンパニー
第3話 鬼兄……弟?
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セバスティアーノさんが来てから三十日と少し。
前回よりだいぶ短くなった間隔は。
「ユリが頑張って農園を広げてポイントを貯めてくれているお陰で私の力も少しずつながら戻りかけているからね」
それも、今回喚び出されるのは――
「兄弟?」
「そう、鬼族の兄弟だよ」
鬼と言ってもモンスター的な鬼ではなく、魔族の一種の鬼族の兄弟だそうで。
「さあ、始めるよ」
3度目となれば流石にもう慣れた。
……が、それはあくまで喚ばれた者が現れるまでの手順的な部分の話であって。
「……兄弟?」
現れる者達についてはやはり驚く事ばかりだ。
特に今回は先にアグリ様から兄弟と聞いていただけに、驚愕が頭を占める。
むしろ自分の目を今疑っている。
「な、何だっ、ここはどこだっ!」
厳つい、いかにも鬼と言うにふさわしい強面に筋骨隆々なガタイの兄の方は良い。鬼と最初から聞いてたからね、多少の覚悟はしてたさ。
その威圧感に圧されつつも何とか耐える。
ユージーンは警戒はしてもそこまで押されていないし、セバスティアーノさんに至っては「いや、青いですな」と余裕のある表情をしているしね。
じゃあ何に驚いているのかって……?
「に、兄ちゃん……」
そう、実に鬼らしいルックスをした“兄”の隣で泣きべそをかいている子供。
背丈は兄の腰に届くかどうか。
幼い子供らしく大きな瞳と丸い顔。ぽやぽやと柔らかそうな金茶の髪から覗く、可愛らしい小さな角が日本。
ぷにぷにしたクリームパンの様な身体。
ショタっ子大好きな大きなお姉さん達がこぞって鼻血吹いてぶったおれそうな、ショタっ子中のショタっ子ルックスをした愛らしい少年。
この二人が兄弟とか……、いや、義理の兄弟なのか?
とても血が繋がっているとは思えない。
しかし、そんな“弟”を守ろうと“兄”が殺気立っているのは確かで、血の繋がりはともかく確かに『絆』がそこに見て取れる。
「落ち着くがよい。ここは安全だ。そなたらを傷付けようとする者はここには居らんし、そんな者は私が存在を認めない。落ち着いて、まずは話を聞くが良い」
アグリ様が興奮する“兄”に声をかける。
「……! ま、まさか……アグリ……様!?」
「そうだ。流石神の教えの浸透した鬼族の神職の一族の者だけあるな」
「い、いえ……。我らの力及ばず、大変申し訳なく……!」
膝を付き、頭を深々と下げる。
「良い。それを言ったら私こそ責められねばならぬ。それより今は、話を聞いてくれぬか」
「はっ、承知しました」
前回よりだいぶ短くなった間隔は。
「ユリが頑張って農園を広げてポイントを貯めてくれているお陰で私の力も少しずつながら戻りかけているからね」
それも、今回喚び出されるのは――
「兄弟?」
「そう、鬼族の兄弟だよ」
鬼と言ってもモンスター的な鬼ではなく、魔族の一種の鬼族の兄弟だそうで。
「さあ、始めるよ」
3度目となれば流石にもう慣れた。
……が、それはあくまで喚ばれた者が現れるまでの手順的な部分の話であって。
「……兄弟?」
現れる者達についてはやはり驚く事ばかりだ。
特に今回は先にアグリ様から兄弟と聞いていただけに、驚愕が頭を占める。
むしろ自分の目を今疑っている。
「な、何だっ、ここはどこだっ!」
厳つい、いかにも鬼と言うにふさわしい強面に筋骨隆々なガタイの兄の方は良い。鬼と最初から聞いてたからね、多少の覚悟はしてたさ。
その威圧感に圧されつつも何とか耐える。
ユージーンは警戒はしてもそこまで押されていないし、セバスティアーノさんに至っては「いや、青いですな」と余裕のある表情をしているしね。
じゃあ何に驚いているのかって……?
「に、兄ちゃん……」
そう、実に鬼らしいルックスをした“兄”の隣で泣きべそをかいている子供。
背丈は兄の腰に届くかどうか。
幼い子供らしく大きな瞳と丸い顔。ぽやぽやと柔らかそうな金茶の髪から覗く、可愛らしい小さな角が日本。
ぷにぷにしたクリームパンの様な身体。
ショタっ子大好きな大きなお姉さん達がこぞって鼻血吹いてぶったおれそうな、ショタっ子中のショタっ子ルックスをした愛らしい少年。
この二人が兄弟とか……、いや、義理の兄弟なのか?
とても血が繋がっているとは思えない。
しかし、そんな“弟”を守ろうと“兄”が殺気立っているのは確かで、血の繋がりはともかく確かに『絆』がそこに見て取れる。
「落ち着くがよい。ここは安全だ。そなたらを傷付けようとする者はここには居らんし、そんな者は私が存在を認めない。落ち着いて、まずは話を聞くが良い」
アグリ様が興奮する“兄”に声をかける。
「……! ま、まさか……アグリ……様!?」
「そうだ。流石神の教えの浸透した鬼族の神職の一族の者だけあるな」
「い、いえ……。我らの力及ばず、大変申し訳なく……!」
膝を付き、頭を深々と下げる。
「良い。それを言ったら私こそ責められねばならぬ。それより今は、話を聞いてくれぬか」
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