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「許すなんて」
私は弱々しく抗議した。
オルギールは、何を誤解しているのか?
「私は、何も」
あられもない恰好だけれど、必死に理性を保ってオルギールを宥めようと、鏡ごしに説得を試みる。
胸を揉まれ、尖りをくりかえし捏ねられながらも、息が上がりそうになるのをこらえて、
「オルギール、落ち着いて、、!?ああ!」
痛みに声が裏返る。
がり、と、うなじに歯を立てられた。
そのまま何度も、何度も、噛んだり舌を這わせたり、吸い上げられたり、うなじを、首筋を貪られる。
わき目もふらず、ひたすらそこを責め立てる彼は、銀色の肉食獣のようだ。
「……ここに、こんな痕をつけさせて」
びちゃびちゃ、と音を立ててうなじを舐め上げながら、オルギールは常よりも低い声で言った。
「あの男が選んだ首飾りをつけて。……それも、あの男の髪と、瞳の色。あなたがいくら鈍感でも、まさか気づいていないということはないでしょうね」
「い!たっ……!!」
首飾りの鎖に噛みついて引っ張られた。シャララン!と、葡萄飾りのたてる涼しい音とは裏腹に、鎖が首を擦りあげる痛みに、高い声を上げてしまう。
それに。……アルフの、髪と瞳の色?
そういえば。
……でも、ただ、綺麗だったから。
気づかなかった、と言おうとして鏡ごしのオルギールを目で追っても、仄暗い笑みを薄く浮かべたオルギールは、ただただひたすら、執拗な愛撫を両胸に、その先端に与え続けていて、私と目を合わせようとしてくれない。
「オルギール、私は」
「わかっていて、あの男の色を身にまとっている?」
「ああん!!」
ぎゅうっ!とひときわ強く、胸の先を捻られた。
鏡に映る私の胸は、オルギールの長くて形のよい指によって自在に形を変え、先端はもう真っ赤だ。
涙が浮かんでくる。
オルギールは、なぜこんなにひどいことを。
続けざまに、なんども、捻られ、指の間に挟んで潰される。
泣けてくるときの、目の奥のツン、とした痛みと、敏感になりすぎた胸の物理的な痛みと、そして、間違いなくせり上がってくる快感。
レオン様に毎晩愛され、オルギールにまで淫靡な悪戯をされて、私のからだは悲しいくらい敏感で、快楽に弱い。
こんなに理不尽なことをされていても、鏡の中の私は、抵抗する様子でありながらも、見ようによっては、誘うように腰をくねらせ、足を擦り合わせている。
「あの男に、絆されたのですか?」
ようやく顔を上げたオルギールは、熱の籠った視線を、私の全身に向けた。
着衣をまるで乱さないオルギールと、首飾り以外、一糸纏わぬ姿の私。
頬が火照る。恥ずかしくて、いたたまれない。
「あの男にしてみれば、あなたを篭絡することなど赤子の手をひねるようなもの。……装身具を贈られて、こんなところに──オルギールは、私のうなじをもう一度舐め上げた──唇を触れさせて。‘また’会うのですか?二人きりで?……次は、からだを与えるおつもりですか」
「そんな!」
それは、ありえない。誤解どころか、私を貶める発想だ。
私は首を捩じって、鏡ごしにではなく、必死で直にオルギールを見上げた。
「オルギール、見損なわないで!」
「……」
「頂きものとか宝石の色のこととか。たとえ私が考え無しだったとしても、誰とでもすぐ寝る女だと思われるのだけはイヤ!!」
「……それは、そうですね」
ちら、とオルギールは私を見下ろして言った。
私の必死さが、多少は伝わったのだろうか。
わずかに、そう期待して、からだの力を抜いたのだけれど。
ひょい、と裸の腰を抱え上げられて、浴室の椅子に腰を下ろしたオルギールの膝に座らされた。
わずかに椅子をひいて、鏡のすぐ前へと移動する。
「オルギール?」
「あなたを侮辱するつもりはありませんでした。お赦しを、リヴェア様」
奇妙なほど静かな声で、オルギールは言った。
相変わらず、片手は胸をまさぐっているけれど、かたちや質感を味わうようなねっとりとした動きへと変化している。
「でも、あなたが悪いのですよ、リヴェア様。……」
「私、が?」
胸を味わう手とは反対の手が、私の足の間に滑り込んだ。
その勢いのまま、さらに奥、割れ目の中へ。
「あ!やあ!」
くちゅ、と濡れた音がした。
オルギールのとても愛撫とは言えない行為や、意地悪な言葉にも、私のからだは快感を拾ってしまうらしい。
くちゅくちゅ、ともっと高い、大きな音が出るまで、勢いよくオルギールは指を躍らせ始めた。
腰が跳ねるのを止められない。私の背中をささえるオルギールに、突き出したお尻を擦りつけてしまう。
踊るように身悶える自分は、淫らで愚かしくて目を背けたくなる。
「お願い、いや、オルギール……」
「あの男の色を身に纏うなど。それも、赤珊瑚など」
さっきよりはいくぶん優しい声になったけれど、それでもオルギールは私を抱く手を全く緩めようとはしなかった。
それどころか、
「!?オルギール!!」
がば!と両足を大きく広げられた。
私の足の間にオルギールが両足を入れて、膝を立てていっぱいに左右に拡げると、必然的に、私の足もあられもなく開脚させられる。
濡れて光る自分の最も敏感な部分。そこはオルギールの愛撫ですっかり色づいていて。
「ここに、もっと美しい赤珊瑚がありますよ」
オルギールは、強制的に開かせた私の足の付け根を指でさらに広げ、包皮を剥いて、真っ赤に熟れた快楽の粒を露わにした。
「そんな首飾りよりも。……何より美しい赤珊瑚はご自分の中にあるのに」
「ああ、やあ、あああん!!」
滴るように溢れる蜜を、オルギールの残酷な指で執拗に塗りこめられる。
硬くなって飛び出した粒は、痛みを感じるほど敏感になって、私の理性を焼きつくしてゆく。
「リヴェア様、鏡を見て」
「んあ!」
じゅぶう、と音を立てて、中指と薬指が、まとめて私の中に突き立てられた。
蜜が白く泡立つほどかき回されながら、人差し指と親指が、容赦なく肉粒を刺激する。
オルギールの淫靡な声が、耳からも快感を拾って、私のからだの中心を反応させる。
「リヴェア様。……美しいでしょう?」
「オルギール……」
羞恥と快感でかすむ目を鏡に向けると、確かに、あった。
──色づいた快楽の証。「赤珊瑚」が。
「その首飾り、よくお似合いですが」
嫌らしい言葉、卑猥な光景に脳が茹って、すっかり抵抗をやめた私に、オルギールはものすごく優しく頬擦りをした。
「あの男。せいぜい、自分の瞳の色だと思っていればいい。……あなたの‘赤珊瑚’は私のものですから」
そして、レオン様の。
最後にひとこと、付け加えつつ。
──あらためて寝台へと移動して、お風呂を頂く前の私のからだを、オルギールは、舌と、指と、唇を使って、食べつくした。かろうじてからだを繋げる行為だけはせず、それ以外のあらゆることを
身悶え、喘ぎ、啼いてオルギールに応える私の耳に、ずっと、葡萄の房の揺れる音が聞こえていた。
私は弱々しく抗議した。
オルギールは、何を誤解しているのか?
「私は、何も」
あられもない恰好だけれど、必死に理性を保ってオルギールを宥めようと、鏡ごしに説得を試みる。
胸を揉まれ、尖りをくりかえし捏ねられながらも、息が上がりそうになるのをこらえて、
「オルギール、落ち着いて、、!?ああ!」
痛みに声が裏返る。
がり、と、うなじに歯を立てられた。
そのまま何度も、何度も、噛んだり舌を這わせたり、吸い上げられたり、うなじを、首筋を貪られる。
わき目もふらず、ひたすらそこを責め立てる彼は、銀色の肉食獣のようだ。
「……ここに、こんな痕をつけさせて」
びちゃびちゃ、と音を立ててうなじを舐め上げながら、オルギールは常よりも低い声で言った。
「あの男が選んだ首飾りをつけて。……それも、あの男の髪と、瞳の色。あなたがいくら鈍感でも、まさか気づいていないということはないでしょうね」
「い!たっ……!!」
首飾りの鎖に噛みついて引っ張られた。シャララン!と、葡萄飾りのたてる涼しい音とは裏腹に、鎖が首を擦りあげる痛みに、高い声を上げてしまう。
それに。……アルフの、髪と瞳の色?
そういえば。
……でも、ただ、綺麗だったから。
気づかなかった、と言おうとして鏡ごしのオルギールを目で追っても、仄暗い笑みを薄く浮かべたオルギールは、ただただひたすら、執拗な愛撫を両胸に、その先端に与え続けていて、私と目を合わせようとしてくれない。
「オルギール、私は」
「わかっていて、あの男の色を身にまとっている?」
「ああん!!」
ぎゅうっ!とひときわ強く、胸の先を捻られた。
鏡に映る私の胸は、オルギールの長くて形のよい指によって自在に形を変え、先端はもう真っ赤だ。
涙が浮かんでくる。
オルギールは、なぜこんなにひどいことを。
続けざまに、なんども、捻られ、指の間に挟んで潰される。
泣けてくるときの、目の奥のツン、とした痛みと、敏感になりすぎた胸の物理的な痛みと、そして、間違いなくせり上がってくる快感。
レオン様に毎晩愛され、オルギールにまで淫靡な悪戯をされて、私のからだは悲しいくらい敏感で、快楽に弱い。
こんなに理不尽なことをされていても、鏡の中の私は、抵抗する様子でありながらも、見ようによっては、誘うように腰をくねらせ、足を擦り合わせている。
「あの男に、絆されたのですか?」
ようやく顔を上げたオルギールは、熱の籠った視線を、私の全身に向けた。
着衣をまるで乱さないオルギールと、首飾り以外、一糸纏わぬ姿の私。
頬が火照る。恥ずかしくて、いたたまれない。
「あの男にしてみれば、あなたを篭絡することなど赤子の手をひねるようなもの。……装身具を贈られて、こんなところに──オルギールは、私のうなじをもう一度舐め上げた──唇を触れさせて。‘また’会うのですか?二人きりで?……次は、からだを与えるおつもりですか」
「そんな!」
それは、ありえない。誤解どころか、私を貶める発想だ。
私は首を捩じって、鏡ごしにではなく、必死で直にオルギールを見上げた。
「オルギール、見損なわないで!」
「……」
「頂きものとか宝石の色のこととか。たとえ私が考え無しだったとしても、誰とでもすぐ寝る女だと思われるのだけはイヤ!!」
「……それは、そうですね」
ちら、とオルギールは私を見下ろして言った。
私の必死さが、多少は伝わったのだろうか。
わずかに、そう期待して、からだの力を抜いたのだけれど。
ひょい、と裸の腰を抱え上げられて、浴室の椅子に腰を下ろしたオルギールの膝に座らされた。
わずかに椅子をひいて、鏡のすぐ前へと移動する。
「オルギール?」
「あなたを侮辱するつもりはありませんでした。お赦しを、リヴェア様」
奇妙なほど静かな声で、オルギールは言った。
相変わらず、片手は胸をまさぐっているけれど、かたちや質感を味わうようなねっとりとした動きへと変化している。
「でも、あなたが悪いのですよ、リヴェア様。……」
「私、が?」
胸を味わう手とは反対の手が、私の足の間に滑り込んだ。
その勢いのまま、さらに奥、割れ目の中へ。
「あ!やあ!」
くちゅ、と濡れた音がした。
オルギールのとても愛撫とは言えない行為や、意地悪な言葉にも、私のからだは快感を拾ってしまうらしい。
くちゅくちゅ、ともっと高い、大きな音が出るまで、勢いよくオルギールは指を躍らせ始めた。
腰が跳ねるのを止められない。私の背中をささえるオルギールに、突き出したお尻を擦りつけてしまう。
踊るように身悶える自分は、淫らで愚かしくて目を背けたくなる。
「お願い、いや、オルギール……」
「あの男の色を身に纏うなど。それも、赤珊瑚など」
さっきよりはいくぶん優しい声になったけれど、それでもオルギールは私を抱く手を全く緩めようとはしなかった。
それどころか、
「!?オルギール!!」
がば!と両足を大きく広げられた。
私の足の間にオルギールが両足を入れて、膝を立てていっぱいに左右に拡げると、必然的に、私の足もあられもなく開脚させられる。
濡れて光る自分の最も敏感な部分。そこはオルギールの愛撫ですっかり色づいていて。
「ここに、もっと美しい赤珊瑚がありますよ」
オルギールは、強制的に開かせた私の足の付け根を指でさらに広げ、包皮を剥いて、真っ赤に熟れた快楽の粒を露わにした。
「そんな首飾りよりも。……何より美しい赤珊瑚はご自分の中にあるのに」
「ああ、やあ、あああん!!」
滴るように溢れる蜜を、オルギールの残酷な指で執拗に塗りこめられる。
硬くなって飛び出した粒は、痛みを感じるほど敏感になって、私の理性を焼きつくしてゆく。
「リヴェア様、鏡を見て」
「んあ!」
じゅぶう、と音を立てて、中指と薬指が、まとめて私の中に突き立てられた。
蜜が白く泡立つほどかき回されながら、人差し指と親指が、容赦なく肉粒を刺激する。
オルギールの淫靡な声が、耳からも快感を拾って、私のからだの中心を反応させる。
「リヴェア様。……美しいでしょう?」
「オルギール……」
羞恥と快感でかすむ目を鏡に向けると、確かに、あった。
──色づいた快楽の証。「赤珊瑚」が。
「その首飾り、よくお似合いですが」
嫌らしい言葉、卑猥な光景に脳が茹って、すっかり抵抗をやめた私に、オルギールはものすごく優しく頬擦りをした。
「あの男。せいぜい、自分の瞳の色だと思っていればいい。……あなたの‘赤珊瑚’は私のものですから」
そして、レオン様の。
最後にひとこと、付け加えつつ。
──あらためて寝台へと移動して、お風呂を頂く前の私のからだを、オルギールは、舌と、指と、唇を使って、食べつくした。かろうじてからだを繋げる行為だけはせず、それ以外のあらゆることを
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