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7、話が噛み合わない(ウィリアム&アイシャざまぁ3)

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「お久しぶりです、父さん、母さん、グリットさん」

「いやぁ、たった二、三年見ないだけで立派に成長したみたいで、噂は聞いているよ」

「いえいえ、そんな大したことありませんよ」

「元気そうでよかった」

「栄養はちゃんと摂っているの?」

「まぁそこそこに」

久しぶりの再会、適当に雑談する私達、よかった、どうやら父や母、グリットさんは昔と同じようだ、ずっと戦場で命のやり取りをしていた私にとって二、三年ぶりの家族や親戚の楽しい雑談は暖かく、身に沁みた、久しぶりに心休まる気がした。

「それじゃあ早速で悪いが、結婚式の日取りでも決めようか?」

「はい?」

「おいおいグリット、少し気が早すぎるんじゃないか?、帰ってきてまだ二、三日なんだぞ?、コヨミだって返答に困ってるじゃないか」

「これは失敬、ですが、戦争を終戦へと導いた、国の英雄たる彼女の結婚式は注目の的だ、私の好奇心を笑ってくれるな」

「もう、アナタったら言い過ぎよ」

「あ、ああすまんすまん」

「「「ハハハハハハ」」」

結婚式がどうの言ってくるグリットさんに目が点になる私、父と母も私が結婚することは確定事項という調子で話している、心底楽しそうに笑う三人、私だけ蚊帳の外の……いや、さっきから一言も喋らず顔を青くしているアイシャとウィリアムがいるので私だけというのは違うか。

「いや、あの、結婚式って、私の結婚相手は誰なんですか?」

「うん?、何言ってる、君の婚約者で私の息子、ウィリアム以外いないだろ?」

「どうしたんだコヨミ?」

「やっぱり戦場から帰ったばかりで疲れが溜まっているのかしら?」

もしかしたら急遽新しい婚約者でも決まったのかと、暗に探りを入れるも、やはりウィリアムと結婚するという前提で話をしているらいし、ウィリアムとアイシャをチラ見するとただただ顔を青ざめている、ああ、こいつらまだ話してなかったのか、話の噛み合わなさに少し納得する私。

「えっと、私、ウィリアムとは結婚しませんよ?」

「「「は?」」」

グリットさんに少し悪い気もしながら、ちゃんと事実を伝える私、父と母、グリットさんは異口同音で間抜けな声を出す。

「す、すまん、もう一度言ってくれないか?」

「いや、ですからウィリアムとは結婚できませんよ?」

「な、何故です??!!!何かウチの息子が粗相したのですか???!!!」

「粗相も何も、私が帰ったその日、家で妹と不倫してて、その後、彼に婚約破棄されました、ディープキスをしながら………」

「な、ナナナナ、い、今の話は本当のなのかウィリアム…………」

「い、いや、ち、違うんだ父さん……か、彼女は勘違ーーーーーー」


ーーーーーーーーーーーーーー


「猫被っても意味ないってことか」

「ーーああもう、ウザッッッ」

「それが貴方達の本音か」

もう誤魔化せないと判断した二人は汚い本音をブチまける。

「それとね、けじめはつけておこう…コヨミ、君との婚約は破棄させてもらう……」

「……………」

「だってアイシャの方が優秀だからね……学院の成績でもトップクラス、しかも今やヴァーミリオン家の次期当主……魔力無しで学院に入学すらできない貴族の面汚しの君とは雲泥の差だ………」

「ごめんね~彼が私に言い寄ってくるから~つい~」

「………」

追い討ちをかけるが如く、身勝手な婚約破棄を突きつけてくるウィリアム、私の頭は怒りで真っ白に染まり、無言で話を聞くのが精一杯だった………全く悪びれる気がない様子のアイシャが喋っている、確かに私は魔力無し、妹は通っている学校の入学試験に書類審査の時点で落とされた……魔力が全く無い……魔力がないというのはこの国では無能と同然、しかしまさか婚約者にそう思われてるとは思わなかった。

あろうことか私の眼の前でディープキスをしだす二人、ねっとりと蛇のように絡まる両者の舌。

「…………」

「それでさ~この家出ていってくれない?、パパとママが死ぬまでもう少しかかるけど、どうせ私が当主になったら血も繋がってないアンタをわざわざおいとく義理ないしさ」

「…………わかった」

畳み掛けてくるアイシャ、もう限界だった、彼女達と離れられるなら何でも良かった、返事をした後すぐさま部屋を出る準備をする私。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「私がどこをどう勘違いしたのか、説明してくれるとありがたいな、ウィリアム」


「な、な、な」

「これは一体どういう事だ、ウィリアム、キサマ、貴族同士の婚約をなんと心得る」

私は後々すっとぼけられても困るので密かに一部始終を魔道具で撮影していた、この魔道具は同僚に魔力を入れてもらっていたので私でも使うことができたのだ、撮影していた映像を全員に見せると、ウィリアムは金魚みたいに口をパクパクさせる、憤慨するグリットさん。

「そ、それじゃあ私はこれで失礼ーーーー」

「どこに行くつもりなの、アイシャ?」

「きっちり説明してもらうぞ」

妹がそそくさと逃げようとするも、母がそれを許さない、肩を掴み引き止める、ミシミシと音が聞こえてくる、顔は笑っているが全く笑っていない両親は妹へと詰め寄る。


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