130 / 159
近づく距離〈紬side〉
しおりを挟む
〈明日は最終日です。
片付けは今日終わったから、明日は繁忙期に使うものの用意を手伝ってから、お世話になった人に挨拶してきます。
夜は送別会してくれるって。
明後日の朝にはこちらを出る予定〉
いつものように寝る前にメッセージを送る。これまでより少し早めに送ったのは縮まった距離感をキープしたかったからだ。
〈お疲れ様です。
最後まで忙しそうですね。
挨拶は工房の人達ですか?〉
すぐに返ってきたメッセージ。
同じ気持ちでいてくれるのだろうか?
〈近所の人にも。
いつも食事してた店とか、買い物行ってた店とか、顔合わせるうちに話すようになったから〉
〈そうなんですね。
何だか…楽しそう〉
〈楽しかったよ。
もともと冬の間は人の出入りが少ないみたいでこんな時期に長期滞在だから色々と気にかけてもらってた〉
〈ひと月ですもんね。
またお手伝いに行くんですか?〉
テンポよく続いた中に少しだけニュアンスの違うメッセージが混ざる。前にスルーされた事だった。
〈どうだろう。
そっちに戻ってから考えるつもり〉
そう送った後で付け加えてみた。
〈離れたくない人がいるから〉
そして、送った後で照れ臭くなって思わずスタンプを送ってしまった。冗談だと受け止められてもいい。それでも言いたかったのだ。
〈僕も同じ気持ちです〉
しばらくして返ってきたメッセージ。
本気か?!何度も見返してしまう。
〈早く会いたいです〉
そして続けて送られてきたメッセージに完全にやられてしまった。
何だこれ、可愛すぎないか?!
〈待ち遠しい〉
思わず送ってしまうとすれ違いでメッセージが届く。
〈兄が週末ならいつでも時間を作ってくれると言ってました〉
そうだ、まずはラスボスを攻略しないといけないんだった…。
〈やっと会えるね〉
それでも会えるのだ。そう思いメッセージを送った後で気になってしまい言葉を重ねる。
〈光流君は電話は苦手?〉
昨日、電話ができるかと聞いた時に少し戸惑うような感じがあった事が気になっていたのだ。今の話だって電話で話せばすれ違いもない。
〈どちらかと言えば苦手です。
相手の都合とか考えるとメッセージの方が気が楽です〉
すぐに送られてくるメッセージ。
〈電話だと切ったらおしまいだけど、メッセージなら見返せるのが好きです〉
追加で送られてきた言葉の意味を理解して笑ってしまった。今までのやり取りを何度も見返してると言う事なのだろう。何だろう…何とも思ってない相手がそれをしていると思うと薄気味悪いけれど、光流にそれをされていると思うと可愛くて仕方がない。
そんなにも想われてると自惚れてもいいだろうか?
〈そうなんだ。
了解です。
見返す気持ちはわかるかも〉
とりあえず同意しておく。ただし、この同意は光流限定だ。
〈気持ち悪くないですか?〉
〈何で?
自分の送ったメッセージ、大切にしてくれてると思うと嬉しい〉
もちろん光流限定だ。
でも声も聞きたい。そう思いメッセージを送る。
〈電話はでも、少しずつ慣れてくれると嬉しいかも〉
〈頑張ります〉
返ってきた言葉を見ていたずら心が湧いてしまった。
これだけすぐにメッセージが返ってくるという事はきっと自室だろうと予想をつけ通話ボタンを押す。
しばらく呼び出し音がなった後に聞こえた声。
「もしもし?」
伺うような少し小さめの声を聞いてその可愛さに笑ってしまった。これだけで満足だ。
「まずは挨拶だけ。
おやすみ」
そっと告げてみる。
会話はなくてもいいから声だけでも聞きたかったのだ。
「…おやすみなさい」
うん、満足だ。
「また明日ね」
そう告げてアッサリと通話を終了した。
もっと俺を意識して、もっと俺のことを好きになってくれたらいいのに…。
片付けは今日終わったから、明日は繁忙期に使うものの用意を手伝ってから、お世話になった人に挨拶してきます。
夜は送別会してくれるって。
明後日の朝にはこちらを出る予定〉
いつものように寝る前にメッセージを送る。これまでより少し早めに送ったのは縮まった距離感をキープしたかったからだ。
〈お疲れ様です。
最後まで忙しそうですね。
挨拶は工房の人達ですか?〉
すぐに返ってきたメッセージ。
同じ気持ちでいてくれるのだろうか?
〈近所の人にも。
いつも食事してた店とか、買い物行ってた店とか、顔合わせるうちに話すようになったから〉
〈そうなんですね。
何だか…楽しそう〉
〈楽しかったよ。
もともと冬の間は人の出入りが少ないみたいでこんな時期に長期滞在だから色々と気にかけてもらってた〉
〈ひと月ですもんね。
またお手伝いに行くんですか?〉
テンポよく続いた中に少しだけニュアンスの違うメッセージが混ざる。前にスルーされた事だった。
〈どうだろう。
そっちに戻ってから考えるつもり〉
そう送った後で付け加えてみた。
〈離れたくない人がいるから〉
そして、送った後で照れ臭くなって思わずスタンプを送ってしまった。冗談だと受け止められてもいい。それでも言いたかったのだ。
〈僕も同じ気持ちです〉
しばらくして返ってきたメッセージ。
本気か?!何度も見返してしまう。
〈早く会いたいです〉
そして続けて送られてきたメッセージに完全にやられてしまった。
何だこれ、可愛すぎないか?!
〈待ち遠しい〉
思わず送ってしまうとすれ違いでメッセージが届く。
〈兄が週末ならいつでも時間を作ってくれると言ってました〉
そうだ、まずはラスボスを攻略しないといけないんだった…。
〈やっと会えるね〉
それでも会えるのだ。そう思いメッセージを送った後で気になってしまい言葉を重ねる。
〈光流君は電話は苦手?〉
昨日、電話ができるかと聞いた時に少し戸惑うような感じがあった事が気になっていたのだ。今の話だって電話で話せばすれ違いもない。
〈どちらかと言えば苦手です。
相手の都合とか考えるとメッセージの方が気が楽です〉
すぐに送られてくるメッセージ。
〈電話だと切ったらおしまいだけど、メッセージなら見返せるのが好きです〉
追加で送られてきた言葉の意味を理解して笑ってしまった。今までのやり取りを何度も見返してると言う事なのだろう。何だろう…何とも思ってない相手がそれをしていると思うと薄気味悪いけれど、光流にそれをされていると思うと可愛くて仕方がない。
そんなにも想われてると自惚れてもいいだろうか?
〈そうなんだ。
了解です。
見返す気持ちはわかるかも〉
とりあえず同意しておく。ただし、この同意は光流限定だ。
〈気持ち悪くないですか?〉
〈何で?
自分の送ったメッセージ、大切にしてくれてると思うと嬉しい〉
もちろん光流限定だ。
でも声も聞きたい。そう思いメッセージを送る。
〈電話はでも、少しずつ慣れてくれると嬉しいかも〉
〈頑張ります〉
返ってきた言葉を見ていたずら心が湧いてしまった。
これだけすぐにメッセージが返ってくるという事はきっと自室だろうと予想をつけ通話ボタンを押す。
しばらく呼び出し音がなった後に聞こえた声。
「もしもし?」
伺うような少し小さめの声を聞いてその可愛さに笑ってしまった。これだけで満足だ。
「まずは挨拶だけ。
おやすみ」
そっと告げてみる。
会話はなくてもいいから声だけでも聞きたかったのだ。
「…おやすみなさい」
うん、満足だ。
「また明日ね」
そう告げてアッサリと通話を終了した。
もっと俺を意識して、もっと俺のことを好きになってくれたらいいのに…。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
267
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる